第二章
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「坊ちゃんというものを読みました」
「夏目漱石ですね」
「あの作品の中で主人公は天ぷらそばを食べますね」
「はい、三杯も」
「あの天ぷらそばですが」
ティオテが言うのはこの蕎麦のことだった。
「それだけ美味しいのですか」
「確かに美味しいですね」
彼、新島章大もそうだと答えた、外見はすらりとして茶髪で派手な外見の若者だが物腰は丁寧で紳士である。
「天ぷらそばは」
「では」
ティオテは彼の言葉を聞いて言った。
そうして二人である店に行った、その店はというと。
「このお店は」
「はい、蕎麦屋です」
新島は店の前で共にいるティオテに答えた。
「ここは」
「そのお蕎麦を食べるお店ですね」
「そうです」
その通りだというのだ。
「このお店のお蕎麦は絶品でして」
「では天そばも」
「はい、それもです」
新島はにこりと笑ってそのうえでティオテに話した。
「美味しいのです」
「それでは」
「今から入り」
そして、というのだ。
「一緒に食べましょう」
「はい、わかりました」
ティオテは新島のその言葉に笑顔で頷いてだ、そのうえでだった。
二人で店の中に入った。店の中はティオテから見れば見事な和風で木の香りがする様だった。それで彼は目を見張って新島にこう言った。
「あの、このお店は」
「どうでしょうか」
「凄くいい雰囲気ですね」
その日本の趣がというのだ。
「非常に」
「お気に召されたのですね」
「はい」
その通りだと言うのだった。
「日本ですね」
「日本の趣を忠実に出しているお店でして」
「それで、ですね」
「はい、こうした内装なのです」
木のテーブルに椅子にカウンター、品書きは和紙でありそこに筆で書かれている。ティオテはその毛筆の文字も見て言った。
「最高のお店です」
「いやいや、このお店は」
「何かあるのですか?」
「確かに日本の趣がありますが」
それでもだというのだ。
「値段は安いので」
「そうなのですか」
「庶民のお店です」
日本の、というのだ。
「畏まらなくてもいいので」
「左様ですか」
「そうです、それでは」
「今からですね」
「席に座って」
「そうしてですね」
「天そばを食べましょう」
こう話してだった、新島はティオテを二人用の席に案内した。ティオテも彼に従い二人で向かい合って座ってだった。
その天そばを注文した、二人で。そうして。
ティオテはその蕎麦を見た。見れば。
黒灰色もっと言うと蕎麦色の麺が熱いつゆの入った丼の中にありその上にだった。細かく切った蒲鉾と刻んだ葱と共に。
狐色の衣に包まれた海老があった、その蕎麦を見てだった。
ティオテは目を瞠ってだ、新島に言った。
「これがですね」
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