第三章
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「それだとね」
「そうなるのう」
「ええ、けれど念の為に逃げる用意はこのままにしてね」
「そうしてじゃな」
「商売を続けていきましょう」
「来るぞ、これからお客さんが」
エンヤは楽しそうに笑って孫娘に言った。
「プロイセンのことでな」
「そうね、勝ち負けのことはね」
「それは言わぬことじゃ」
プロイセンが勝つだのオーストリアが負けるだのはだ。
「決してな」
「そこはjはぐらかして」
「お客さん個人のことを言うのじゃ」
「そうしていってね」
「儲けるとしようか」
「ええ、思わぬかき入れ時になりそうね」
ロンダは朝食のパンを食べつつエンヤに笑顔で応えた。
「これは」
「よいことじゃ、これで朝飯がよくなる」
「パンとビールがね」
「チーズがついてな」
「それとビールもワインになってね」
「そうなるやもな」
孫娘に笑って言ってだった、そのうえで。
二人はそのかき入れ時を待った、するとすぐにだった。
客が二人のそれぞれの場所にどんどん来てだ、こう言って来た。
「プロイセンとオーストリアのことを占ってくれるか」
「やっぱり戦争になるのか」
「オーストリアが勝つのか?」
「プロイセンは負けるよな」
「一体両国はどうなるんだ」
「占ってくれ」
こう口々に言ってだった、そのうえで。
二人にそれぞれ占ってもらう、二人共戦争の勝敗のことは言葉をはぐらかしたがそれでもであった。
それぞれの客達にだ、こう言うのだった。
「安心していいから」
「気にすることはない」
これが二人の言葉だった。
「戦争にはなるけれどね」
「すぐに終わるぞ」
「終わるんだな、すぐに」
「戦争になっても」
客達は怪訝な顔になってそれぞれ二人に問い返した。
「ならいいがな」
「ウィーンに被害が及ばないのなら」
「プロイセン軍が来ないのなら」
「まあ大事には至らないわ」
「だから安心するのじゃ」
あくまでこう言う二人だった、エンヤの夢のことから。
そうして客達を安心させる占いを続けていると二人のそれぞれの店に客達が列を作った、誰もが戦争が起こることが心配だったしその結果も気になっていたからだ。
そして実際に戦争が起こった、長い戦争になると誰もが思ったが。
オーストリア軍は鉄道を駆使したプロイセン軍の迅速な動きの前に瞬く間に敗れた。そしてウィーンにプロイセン軍が来ると思われたが。
プロイセンの宰相であるビスマルクは停戦を命じた、そしてその興和の条件は。
驚くまでに寛容だった、オーストリアは負けたが然程失わなかった。エンヤはこのニュースを聞いてロンダに言った。
「夢の通りじゃな」
「お祖母ちゃんのね」
「うむ、プロイセンにビスマルクが出てな」
「鉄と血もね」
「出たが
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