第七章
[8]前話
「この話に乗らない筈がない」
「ならば最大限に利用し」
「利益を得るのですね」
「そうさせてもらう、その捕虜を得たこともだ」
それもだというのだ。
「そなた達二人の武勲だ」
「我々の、ですね」
「まさに」
「そうだ、そなた達二人によって我が国は勝ち」
王は二人に言っていく。
「さらにだ」
「捕虜という外交カードを得た」
「そう言って頂けますか」
「そなた達兄弟は共に名将であり国の宝だ」
軍を率いるソドムだけでなくだ、ゴモラもだというのだ。
「その功績は同じだ、どちらもな」
「有り難きお言葉」
「そのお言葉身に染み入ります」
「そなた達二人に共に多くの褒美をやる」
王は満足したまま言った。
「何でも好きなものを言うのだ」
「はい、では」
「さすれば」
二人は多くの金品を王に所望し王も応えた、領地や宝は手に入れなかったがこのことについてはだ。
ソドムとゴモラは二人だけになった時にだ、密かに話した。
「多くのものは求めるべきではないからな」
「領地や宝はな」
「金ならどうとも思われない」
「金は金だ」
それ以上のものではないというのだ。
「金を所望していればな」
「それにのみ価値を見出すものとみなされるからな」
「領地は力になる」
そこから得られるものでだとだ、ソドムは言うのだった。
「そして宝もな」
「あると羨ましがられる」
つまり妬まれるとだ、ゴモラが言った。
「他の者達にな」
「下手に力があると王に疑われる」
「妬まれると陥れられる」
「金位ならばな」
「欲が深いと思われるにしてもな」
「使えば終わりだ」
「そうしたものだ」
領地や宝とは違い、というのだ。
「金さえ貰えればそれでいい」
「それで済む者と思われるなら疑われることも妬まれることもない」
「だからこれからもな」
「褒美は金だけでいい」
実際に二人はこれまでも褒美は金だけを求めてきている、そうして王や周りの者からは金のみが好きだと思われている。
そしてそれこそがだ、二人にとってはなのだ。
「身の保身にもなる」
「しかも使える」
「ならこれからもな」
「我々は金のみを求めよう」
褒美でもだ。
「我等二人が共にいる為に」
「その為にもな」
「国の為に働く為にも」
「そうしていこう」
こう話したのだった、二人だけの時に。
王はソドムだけでなくゴモラも理解し重く用い褒美も弾んでいた、そして。
二人はそれをわかっていてそのうえでだ、二人はあえて金だけを褒美に貰い欲の程度も見せて身を守った、そうして自分達も守りつつ国の為に戦うのだった。
双子星 完
2014・9・21
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