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双子星
第五章

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「それで何故攻める」
「ですが来ましたので」
「閣下、どうしますか」
「迎撃ですか、撤退ですか」
「どちらを」
「だから待てというのだ」
 敵将はまだ落ち着きを取り戻せないでいた。狼狽が続いていた。
 それでだ、こう言うのだった。
「まだ会議もしていないではないか」
「これからどうするかという」
「その会議をですね」
「そうだ、軍議だ」
 それをしようというのだ、敵が攻めてきているその中で。
「待て、とにかくな」
「しかし敵はです」
「今まさに攻めてきています」
「すぐに決めなければなりませんが」
「軍議は」
「では貴官達に考えはあるのか」
 敵将は参謀にまた問い返した。
「一体」
「そ、それは」
「そう言われますと」
「その、それは」
「何といいますか」
 参謀達は彼に問われてもだ、彼等もまた落ち着いておらず。
 お互いの顔を見合わせておろおろするだけだった、そしてこう言うばかりだった。
「どうしましょう」
「やはり迎撃でしょうか」
「軍をまとめて」
「そのうえで」
「各軍の司令官を呼べ」
 敵将は今度はこう言い出した。
「とにかく彼等の意見を聞こう」
「そうしますか、ここは」
「とりあえずは」
「とにかく今どうなっている」
 状況を全く把握していない言葉だった。
「敵軍はどう攻めてきているのだ」
「それがその」
「それもです」
「よくわかりません」
「どうなっているのか」
「報告を聞け、何がどうなっているのかな」
 敵将はソドムが率いる軍勢の攻撃の中でも参謀達とこう言い合うだけだった、ソドムは上層部が麻痺している敵軍に対して。
 的確に攻撃をしていた、彼は既に配置を把握していた敵軍の陣地の重要ポイント一つ一つに攻撃を仕掛け。
 そのうえでだ、自ら前線に立ち指揮を取りつつ言うのだった。
「敵の食料も武器もな」
「見付ければ奪う」
「手に入れらなければ燃やすのですね」
「そうしろ、そして敵の集結地にだ」
 そこにはというと。
「集中的に攻撃を仕掛けろ」
「敵が戸惑っている間に」
「そうするのですね」
「ここで徹底的に打ち破る」
 そうする為にというのだ。
「いいな、徹底的にだ」
「攻めるのですね」
「容赦なく」
「そうだ、ただだ」
 ソドムはこうも言った。
「敵が退けばな」
「その時はですね」
「逃がすのですね」
「我々はな」
 自分達はというのだ。
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