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ルドガーinD×D (改)
二十三話:決別の選択
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をすると言う俺に黒歌は自分が作ったと言ってくる。
そのことに少し驚きを覚えるが直ぐに礼を言う。
なんで驚いたのかと言えば、まあ、黒歌が台所に立つところを見たことが無いからだ。

以前、本人に聞いたら料理はほとんど作ったことが無いから苦手だと言っていた。
それと細々としたことが苦手だからとも言っていたな。
そんな、黒歌が料理を作ったというから俺は驚いたんだ。

少し失礼なことをボーっと頭の中で考えながらリビングに行く。
そして、食卓の上にあった物を見て思わず息が止まる。
だって、そこにあった料理は―――『トマトソースパスタ』だったから。


「ルドガーが作れないのは知っているにゃ。でも……私が作るなら大丈夫だと思ったの。
 ……食べてくれるかにゃ」


俺が『トマトソースパスタ』にはトラウマに近い思い入れがあることを黒歌は知っているので俺がちゃんと食べてくれるか心配そうに聞いてくる。
そんな黒歌の様子を見て食べないという選択が出来るわけがないので、俺は無言で頷いて自分の席に腰掛ける。そして改めて『トマトソースパスタ』を眺める。

兄さんと一緒に暮らしていた時は一週間に一回は食卓に上がっていたが最近では作ることが無くなってしまったので随分と懐かしく感じる。
そんな俺の様子を黒歌がハラハラとした様子で見て来るので、フォークを握る。


「いただきます」


フォークで絡めて一口、口に運ぶ。………温かい。
さらにもう一口と口に運ぶ。美味い…っ。こんなにも温かくて…美味い料理は初めてだ。
ここ数日、悩みのせいでボロボロになった俺の心と体に料理の温かさが―――


――黒歌の、俺に元気になって欲しい…笑って欲しいという気持ちが伝わってくる――


料理としては正直言ってそこまでの出来じゃない。
でも……温かい、俺を想ってくれている気持ちが一口、また一口と食べるうちにドンドンと伝わってくる。……死ぬほど美味いよ…っ!
美味しいと伝えようとして黒歌を見てあることに気づく。黒歌が手袋を着けていたのだ。


「黒歌、その手袋……」

「にゃ!? こ、これは……そうにゃ、おしゃれにゃ!」


俺に手袋の事を聞かれた黒歌は焦って言い訳をしながら手を隠す。
そんな黒歌に俺は微笑みかけながら優しくその手を取る。
俺が初めて料理を作ったのは七歳の時だ。

まだ、火の扱い方も分からず、包丁なども大人用の物しかなくてあの時は本当に苦労しながら作った。それでも兄さんに元気になって欲しかったから、笑って欲しかったから頑張れた。料理が出来上がった時には手は火傷や切り傷だらけで酷い状態だった。

俺はそんな手を見たら兄さんが心配すると思ったから手袋を着けた。
それで兄さんに手袋を着けているわけを聞
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