第四章
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「相手の家を失いました」
「それぞれ助ける家がなくなったからね」
「そうです、ですから結婚しましたね」
「娘達もなんだね」
「平民なら普通に誰とも結ばれることが出来ます」
ごく普通にというのだ。
「ですが」
「貴族は違うね」
「はい、家と家の結婚なので」
「そうした私情は捨てて」
「家の為に結婚してもらいます」
全てはその為だった、娘達への教育も。そして実際にだった。
ドリゼラの夫つまり男爵家の跡継ぎが決まった、その彼はというと。
「ベルモント伯爵家のか」
「はい、次男の方です」
その者が来ることが決まったというのだ。
「あの多くの資産と領地を持つ」
「その家がなんだ」
「我が家と結びつきが出来ました」
この婚姻によって、というのだ。
「しかもこの方は学識が深く教養もあり」
「学者としても有名だね」
「学閥にも顔が利きます」
「学閥ねえ」
「これが侮れないのです」
鋭い目になてだ、婦人は夫に言った。
「出身大学、子爵の大学もそうですが」
「そこの出身者がだね」
「司教になったり教師にもなっています」
「影響力が強いんだね」
「それに教会にも顔が利きます」
「教会にも」
「はい、ですから」
それで、というのだ。
「あの方をお迎えすることはです」
「我が家にとってもいいんだね」
「これ以上はない良縁です」
「じゃあ決まりだね」
「はい、ドリゼラの伴侶はです」
その学者である彼だというのだ。
「あの方から伯爵家の後ろ盾にです」
「学閥と教会との縁をだね」
「当家は持ちます」
こうしてドリゼラの婚姻、つまり男爵家本家の婚姻と当主のことを決めた。そしてアナスタシアもであった。
彼女の婚姻の時が来てだ、夫人は彼女にこう言った。
「ではよいですね」
「はい、子爵に嫁いで、ですね」
「妻として確かに生きるのです」
「軍人の妻ですね」
「まず貞節であれ」
このことは彼女だけでなくドリゼラとシンデレラにも言っていることだ。
「旦那様を決して裏切らないことです」
「まずはそのことですね」
「そうです、そして寛容であれ」
次に言うのはこのことだった、このことも他の娘達にも言っている。
「教養を磨き優雅さと気品を忘れない」
「常にですね」
「そうです、貴婦人であるのです」
まさに常にというのだ。
「宜しいですね」
「わかりました、お母様」
アナスタシアは自身の母に明るく笑って返した。
「子爵家でもお母様の教えは忘れません」
「その様にするのです」
「わかりました、子爵はもう将軍になられましたし」
「まだ若いですが」
「ご立派な方ですね」
「その子爵に妻としてお仕えするのです」
夫人の言葉は今も厳しい、娘に対してしかと告げ
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