#1…2
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そう。双龍蓮は、幽霊が見える少年なのだ。
蓮は深く息を吐いて、「こんだけ脅しとけゃ、もうココには寄りつかねぇだろ」とつぶやく。のびているこの三人にも、全力で逃げたあの二人が詳細を伝えるだろう。
顔を上げて、隣に浮いている少女の霊を見た。
「悪かったな、こんな風に使って」
少女は、「ううん」と首を振る。両耳の上で結わえられた髪が、動きに合わせてふわふわと揺れた。顔の左半分は、血で真っ赤に染まっている。
「あの人たちを追っ払って、ってお願いしたの、あたしだもん。このぐらい協力しなきゃ!」
そう言って、少女はニコリとほほ笑んだ。
「さて…と、それじゃな。新しい花は、近いうちに持ってきてやるよ」
「うん!……ありがとう、おにいちゃん。これで静かに過ごせるよ」
少女は、足を速めた蓮の背中にそう声をかけた。死んでしまった自分をこうして気にかけてくれることが、とてもうれしかった。
「どういたしまして。早めに成仏しろよー」
少女に背を向けたまま軽く手を上げて答え、蓮は家路を急いだ。
蓮はふと、初めて幽霊を見たのはいつだったか……と考えてみる。しかし、明確な答えは浮かんでこない。物心ついたころには、もう当たり前のように幽霊が見えていた。蓮の父は開業医で、実家と医院が同じ建物にある。そのため、蓮は幼いころから人の生死を間近で見てきた。このような環境が、彼の高い霊感を養ったのかもしれない。
「ただいまァ」
ドアを開けた蓮を出迎えたのは、側頭部への強烈な飛び蹴りだった。不意打ちをくらって倒れた蓮が、頭を押さえつつ立ち上がり、両手を腰に当ててふんぞり返っている白衣の男をにらんだ。
「遅いっ?? 今何時だと思ってんだ、この不良息子! ウチの夕食は毎晩七時と決まっとるだろうが??」
「てめぇ! これが必死こいて幽霊を助けて帰ってきた息子に対するアイサツか??」
「やかましい! どんな理由があろうと、我が家の鉄の団欒を乱す者には、血の制裁を下すのみ?? それともなにか?また自分だけ幽霊に触ったり会話したりできることを暗に自慢してんのか?? うらやましいんだよてめぇ??」
「うるせぇ! 俺だって好きこのんでこんな体質に生まれたんじゃねぇや??」
「もー、やめなよ二人ともー。ごはん冷めちゃうよー」
殴り合う二人を見て、蓮の茶碗にごはんをよそっていた妹の遊子(ゆず)が振り向く。蓮以上に色の薄い髪と瞳を持つ
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