R.O.M -数字喰い虫- 3/4
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!教えてください……私はもうここで怯えるのは嫌なのッ!!」
美咲は、メリーに縋りついた。メリーはそんな彼女を感情も熱も籠らない人形のような瞳で一瞥した。
「知りたい?」
「はい!」
「世界を変えるためなら、何でもする?」
「私が出来る事ならば、何だって!!」
「――それが、『美咲という世界』を消すことだとしても?」
「え――?それって、どういう――」
「精神の感じる貴方の世界。精神世界。認識世界。あなたがあなたでいる世界」
美咲は、言葉の意味が分からずに絶句した。
美咲という世界を消すとは、どういうことなのか。
何が消えるのか、完全に理解する事が出来なかった。
ただ、心のどこかでその言葉が、何か恐ろしい意味を秘めているような、そんな外れてほしい予想が脳裏をよぎった。
だが、人が想像しうることは、おしなべて実現しうる。
今日のこの瞬間に、その受け入れがたい現実には訪れてほしくない。
そんな願いは意味がないと、分かってはいたのに。
「あの数式は貴方の認識を過去から現在に至るまで書き換えているわ。貴方は最近の出来事が衝撃的すぎて気付いていないようだけど、貴方が記憶する過去の映像でも虫は数字を喰っている。だから、貴方がこれまで認識してきた全ての世界が既に虫の温床となっている」
つまり、それを消すという事は――過去から見たいに至るまでの記憶を――記憶が構築した世界そのものを――病巣を取り除くのと同じように、切除する。
「記憶を、消す?今までにあった全てを?学校の思い出を、家族の思い出を、友達と過ごしたすべての時間を――消す?」
「そうよ」
まるでふとした疑問に答えるように、あっさりと。
がらがらと音を立てて、希望が崩れ去っていく。
「……………………う、そ」
ずるずると、美咲は床へ崩れ落ちた。
やっと手にしたと思っていた希望。未来への光。
その祝福を受けるために払う代償は、彼女を構成する記憶そのもの。
美咲を構成する世界。両親の顔、親友との出会い、好きな食べ物、将来の夢、希望、後悔、恋、その一切合財を喪うことでしか――
「そんなのって、ないよ。酷いよぉ……私ばかり何でこんな……っ、ぅああ……あぁぁぁぁ……!!」
「泣いたっていいし、苦しんでもいい。けど選べる選択は2つしかないから、よく考えるといいわ」
それが、メリーの結論づけた最適解だった。
= =
「今頃、美咲ちゃんはメリーが相手をしているよ。君の仕掛けた悪辣ないたずらから彼女を解放するには、俺としてもメリーに頼らざるを得ない」
「美咲ちゃん……美咲ちゃんは助かるんですかッ!?」
先ほどまでの怯えようとは打って変わって、春歌は掴みかかるよう
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