第五十四話 休日
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大輔「ほい、後は焼くだけだ」
フェイト「うん」
パイ生地はフェイトが一生懸命こねた物だ。
表面の網目を作るのは、手先の器用な大輔の担当。
リボンみたいな生地を使って丁寧に、綺麗に編んでゆく。
ジュンも大輔の母親も綺麗に編んでいく大輔の器用さに感心していた。
フェイト「何とか、その技術を盗めないかなあ?」
フェイトはどうもこの作業だけは苦手で、自分でやるとどうしてもこんがらがってしまうのだった。
だからここだけはいつも大輔の仕事。
悔しそうに観察する彼女の前で、大輔は笑みを深くしたまま見事にパイを編み上げてゆく。
女性陣もやってみるが、彼女達がやったところは見るも無惨な結果に終わった。
フェイト「どうして上手くいかないかなあ?」
大輔「ふふふ…これが俺の実力だ。さてと…焼くか」
オーブンに入れて、パイを焼く。
しばらくすると、香ばしい香りが鼻腔を刺激し、口内に唾液が溜まる。
ブイモン、チビモン[[…………]]
すぐさま食べられるように身構える二匹の姿はまるで獲物を狙う肉食獣の如く。
不満そうなフェイト達の表情も甘い甘いパイの味に幸福そうに表情を和らげるのだった。
はやて「つまり、賢兄はデジタルワールドにダークタワーを建てて、デジモンカイザーとしてデジタルワールドを支配しようとしてたんやな?」
賢「うん、どうしてデジモンカイザーになってしまったのか…その辺りの記憶は曖昧だけど……」
こんなに後悔する事をあの時は嬉々として続けていた自分が滑稽に思えた。
はやて「…デジモンカイザーの頃の賢兄がどんな人やったのかのかは分からへんけど、今の賢兄は違うって断言出来る」
賢「え?」
はやて「だって賢兄、とても優しい目をしてるんやから」
賢「優しい…?」
はやて「賢兄は私が寂しくないように、いつも傍にいてくれたやんか」
賢「いや、僕は当然のことをしただけで…」
はやて「ううん…賢兄だから出来るんや。賢兄は当然と言うけど、誰にも出来ることやない」
賢「…ありがとうはやて。僕は逃げない。自分の罪から絶対に。認めたくない事も全部認めて生きて行く。自分の罪を償うために」
はやて「なら、私は賢兄を支える。賢兄が独りぼっちの私を支えてくれたように」
賢「ありがとう…」
そう言うとはやてを抱き締めた。
はやて「賢兄…」
抱き締め返そうとした時である。
「ただいま。あら?賢ちゃん、お客様が来ているの?」
二人の姿を賢の母親に見られた。
賢、はやて「「………」」
「あら…お邪魔だったかしら?」
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