暁 〜小説投稿サイト〜
回天
第三章
[2/2]

[8]前話 [9] 最初 [2]次話
った。
「どうしたのだ」
「済まん」
 彼等の中の一人が仁科に謝罪する。
「我々にはもう」
「これ以上読むことはできん」
「これ以上。何が書いてあるんだ」
 仁科は彼等に問う。しかしやはり彼等はその問いに答えることができなかった。涙のあまり言葉がどうしても出なくなっていたのだ。
「済まん・・・・・・」
「もうこれ以上は」
「・・・・・・わかった」
 仁科も彼等の心がわかった。こうなっては自分で読もう。そう決心してむせび泣く彼等からその手紙を受け取った。見れば片仮名と漢字で書かれたその遺書は。事前の状況や事故が起こってからのこと、応急処置、所見、そして回天と同志達への追伸が書かれていた。そこには仁科の名もあった。最後には平仮名と漢字で辞世の句まで書かれていた。

[8]前話 [9] 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ