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ルドガーinD×D (改)
二十二話:歪みだす歯車
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ればもっと動揺するものだと思っていた。
でも現実、幾分かは冷静に判断できている。思い当たる節があるとすれば……ルドガー君の存在が僕に復讐を常に意識させて、前もって心の準備をさせていたことだろうか。
僕と彼は違うけど彼が復讐をより意識させてくれたのだけは確かだ。
直接的に復讐を意識しだしたのはイッセー君のアルバムを見てからだけど、それでも幾分かは落ち着いていると思う。相変わらず他の事は考えられないけれど暴走するほどおかしくなっているわけじゃない。

今の精神状態なら、堪えられるかな。
今日、今から始まる教会側の人間と行われる会談で何も問題を起こさずに
堪えることが出来るかな、今の僕に。
そう言えばルドガー君のことだけど、今日は学校にも来ていないらしい。
体調でも崩したのだろうか。
彼も僕と同じで最近は様子が可笑しかったから少しだけ心配だ。


Sideout木場祐斗




Side黒歌


あの変な男と会ってからルドガーの様子が目に見えておかしい。
元気が無いし、何かをずっと考えて思いつめている。食事だって満足に摂っていない。
心配して声を掛けても無理やり笑顔を作って大丈夫だって言うだけだし……ちっとも大丈夫そうに見えないにゃ。
放っておいたら、そのままどこかに行ってしまって二度と帰ってこないかもしれない。
そんな危なげな表情すら浮かべているのに大丈夫な訳がない。
それに……私と目を合わせてくれない。まるで何かがばれるのを恐れているみたいに。

『自分の欲望に素直になれよ、ルドガー君。俺達は―――クルスニク一族だぜ』
話し方からしてあの男はルドガーの過去を知っている……私の知らない過去を。
それにあの男とルドガーが纏った鎧の様な姿。あれが男の言う、クルスニク一族と関係があるのだとは思う。それこそがルドガーが苦しんでいる過去に関係している物だとも思う。

でも……ルドガーは私にそれを話してくれない。
どんなに昔を思い返していてもそれを決して口にすることは無い。それが本当に辛い……。何も言ってもらえないというのは自分が信用されていないのかと思って辛くなる。
ドンドン悪い予想だけが広がっていく。それで相手を信じることが出来なくなる。
ルドガーは『家族だからこそ言えないこともあるし、嘘をつくこともある』と言っていたけど、やっぱり何も話してくれないのは辛い。
……まあ、私の言えたことじゃないんだけどね。

私もルドガーに自分の事を殆ど話していないし。白音だって何も言わずに置いてきた。
自分でも最低の女だと思うし、最低の姉だとも思う。
でも拒絶されるのが怖いから言えない。この小さいけれど何よりも大切な温もりを手放したくないから言えない。………そんな臆病な私。そもそも、そんな私が人の過去を探ろ
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