虫を叩いたら世界は救われるか検証してみた・雷の章
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ンプルに、お前に負けたくなかった。
それだけのちっぽけな意地が、天帝・魔須禍羅諏に突き刺さった拳へありったけの電力を注ぎ込む。
「これが、俺の全力だ……オーバーボルテージ、9999億Vオーバー!!ティリオン……バスタァァァァーーーーーーーッッ!!!」
自分の肉体そのものさえも電気へと変換されているのではないかとさえ思えるほどの、人知を超えたエネルギーの奔流。その雷は、天を貫き、その絶望の運命さえも貫く。
これが俺の全力だ。受けとれ、強敵。
「貴様……貴様は……!!ぐがあああああああああああああああああああああああああああああああああッッ!!!」
だが、それでもなお天帝はその誇りを失わない。絶叫を上げながらも、彼はそれを真正面から受け止めたうえで耐え忍んでいた。
「ぐ……倒れちまえよぉぉぉぉぉぉッ!!!」
「天帝は、膝をつかぬ!決して退かぬ!例えわが身に……風穴が、開こうともぉぉぉぉぉぉッ!!」
咆哮。その声さえも時空を揺るがす。
あと一歩、あと一押し、あと僅かなのに――その僅かが、遠い。
あと少しでこの男を倒せるのだ。何でもいい。誰かが押してくれるとか、ほんの一ミリだけ前へ進む力が湧いてくるとか、この決闘場が傾くとか、兎に角あと僅かなのに――俺の背中を押してくれるものはないのか。
ここへ来るまでに沢山の思いを託された、沢山の声をかけられた、沢山の希望を背負った。
それらすべてを注ぎ込んでもこの男に届かないというのか――
カシアスは、願った。
「神風よ、吹けえぇぇぇぇぇぇーーーーッッ!!!」
――その瞬間、神風が吹いた。
魔須禍羅諏の拳によって極限まで歪みきった空間の奥を、何かが突き破って出てきた。
それは、時空を揺るがしたエーテライト結晶の爆風。人の想いを乗せ、可能性を乗せ、世界の壁を突き破って訪れたエネルギー集合体。
その風を――カシアスはほぼ無意識に、背中から体内に取り込んだ。
「ううううううううううおおおおおおおおおおおおおおおおおッッ!!!」
背中から吸い込まれる光が明確な雷の意思を持ち、吸い込まれるように背中から入り込んだエネルギーはカシアスの闘志を伝播して、魔須禍羅諏に突き立てた腕へと更なる力を送り込んだ。
魔須禍羅諏は、限界を超えた電光拳の上に激しく吐血した。
「なん、と………神は、この天帝が地球の頂点に立つことを許さぬと言うのか……?ふ、ふはは、は……面白い。圧倒的な実力の差で、ただ一族の使命に縛られるのかと辟易しておったが、面白い……最期で、あった」
「………最後だから言うよ。テメェ、俺が今までの人生で出会った男の中で一番強かった。俺はなぁ……喧嘩で苦戦なんかしたこと無かったからよぉ……ちょっぴり憧れちまっ
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