二十九話 決着
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されていた。
「…こんくらい…どうって事ぇよ…」
狂夜は、阿部に担がれている骸を見てから、神無と千尋をみて言った。
「…みねぇ顔だが…雰囲気が骸に似ているな…骸の姉さんか?」
神無は、狂夜の問いに短く頷く。
「そっちの彼女は………ふっ…骸も隅に置けねぇな…」
千尋は頬を染めた。
「阿部…そこに…俺の左手がある。」
阿部は斬り飛ばされた狂夜の左手を確認した。
「これは…」
阿部は狂夜の左手から脈を打つ心臓を回収した。
「そいつは骸の心臓だ…いれてやれ…」
阿部は既に分かっていたらしく、頷いて背負っていた骸を地面に寝かして心臓を胸に押し込んだ。
骸は一回身体を痙攣させると目蓋を指でこすって大きくあくびをした。
「…?ここ何処だ?何で狂夜兄さん血だらけなんだ?」
神無と千尋が骸に抱きついた。
「…骸…そこの綺麗な姉さんと可愛い彼女…大切にしろよ…」
狂夜は、幾斗の方に目線を向けていった。
「…幾斗…星花に謝っといてくれ、アゲハ、友を大切にな」
幾斗もまた小さく頷いた。
アゲハは、理解できなかっただろう、しかしいつか理解することになるのだ。
アゲハも小さく頷いた。
狂夜は上体を起こして言った。
「白夜、俺にはもう時間が…ない。だから…だから最期に…一つだけ…」
白夜は涙を拭い、話に没頭する。
「…お前は自由に生きろ。
…オーダーに捕らわれていたことなんて関係ない、
…ボスのトラウマなんか乗り越えられる、
…過去なんていくらでも振り切れる。」
「………」
「俺は…もはやこれ以上生きることは不可能だ。
しかしお前は時間がある。
過去のせいで人生をぶち壊されるのも
糞野郎のせいで人生を棒に振られるのも
俺はごめんこうむりたい。
お前もそう思うだろ?」
白夜は頷いた。
涙はいまだ止まらない。
「おいおい…いつまで泣いてるんだよ?」
狂夜は白夜の唇にそっと口づけした。
長く、甘い。
白夜は狂夜の体温を感じていた。
少しづつ、消えゆく。
だけどそれは何よりも温かかった。
静かに、濃厚な口付けは終わる。
「…熱い…熱いよ…狂夜。」
狂夜は微笑むと懐から煙草の箱を取り出した。
最後の一本だったらしく煙草を取り出すと箱をクシャッと潰した。
『…火』
指先から魔法の火を出して、煙草に火をつける。
「…それじゃ…先に逝かせてもらうぜ…地獄で色々やってくるよ。」
狂夜は最後に微笑んで、身体から意識を手放した。
煙草が狂夜の口元から地面に落ちる。
また、狂夜から紫色の煙が立ち込めたと思うと、
その
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