A's編
第三十二話 裏 前 (リィーンフォース、はやて)
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きながら、すでに抗うことをあきらめていた。理由は彼女のこの一言に尽きるだろう。
「だって………もう、嫌なんや。寂しいのも、一人になるのも、ただいまを言う相手がおらんのも、話す相手が誰もおらんのも、全部、全部嫌なんや! だから―――」
そう、確かにはやては翔太が傍にいることを実感できた。ただし、それは今だけだ。5年後、10年後はどうだろうか。翔太の様な温かさで包んでくれる存在がいてくれる保証はどこにもない。なにせ、ずっと一緒にいてくれると言ってくれた翔太でさえ、その心は「友人として」なのだ。
友人としてという言葉にずっとという保証はない。もしかしたら、仲たがいするかもしれない。まだ、子どもなのだ。何らかの理由で離ればなれになるかもしれない。その結果、陥るのは、はやてにとって絶望的ともいえる状況である。
孤独という極寒の寒さの中に裸で立つような冷たさをもう感じたくないと考えてしまうのは罪だろうか。
だが、そんな恐怖も翔太は笑って否定してくれる。そんなことを心配することはない、というように。
「君が一番欲しかったものがきっと得られる」
「私が一番欲しかったもの?」
はやてが一番欲しかったもの、欲しいものは言うまでもない。今、翔太が持っているような温かさをもって傍にいてくれる人だ。はやてを一人にしない人だ。ただ、それだけが欲しかった。それ以外に何かあるのだろうか。
そんな風に疑問に思うはやてに翔太は笑いながら、微笑ましいものを見るような目で答えた。
「そうだよ、はやてちゃん。君がいくつもの絆を紡いで、それらと付き合って、そして君が一番欲しかったもの―――『家族』が得られるよ」
「家族……」
言われて初めて気づいた。
そう、そうだ。自分最初からそう称していたではないか。はやてを一人にせず、はやてを孤独にしない人。その人をなんと呼ぶのか―――それは、翔太が言ったように『家族』だ。そう、そうなのだ。はやてが一番欲しかったのはシグナムのような、シャマルのような、ヴィータのような、ザフィーラのような、リィンフォースのような『家族』だ。
「私に『家族』………それってほんまに作れるんかな?」
本当に欲しいものには気付いたが、家族が本当にはやてに作れるのかどうかはやてには半信半疑だった。なぜなら、はやてにとって家族とは与えられたもので、作るものではなかったからだ。父親も母親も記憶にないはやてには、どうやって家族が作れるのかわからなかった。ただ、そこにいて、傍にいる存在が家族であり、作るものではないと思っていから。
そんなはやての心配を吹き飛ばすように翔太は微笑む。
「君にはきっと素敵な家族ができるよ」
どこか確信したような言葉。それだけで、はやてが信じて
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