A's編
第三十二話 裏 前 (リィーンフォース、はやて)
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きるものだったのだから。もっとも、その定義は何者かによって否定されてしまった。
だが、闇の書の管理人格はそれでいい、いや、むしろそれが救いだと思っていた。
闇の書の管理人格は覚えている。今までのすべての主を死へといざなった結末を。すべて、すべて、すべての彼女の歩んできた道が怨嗟と憎しみと死に満ちている。それ以外にはない。まるで無限に存在する書物の物語のエピローグが同じであるかのように、闇の書が至る結末は同じなのだ。
そのすべてに彼らを付き合わせた。本来であれば、時に主に栄光へと導く剣であり、時に主を守る盾となる騎士の本懐を体現し、誇りを汚すことなく正道を歩むべき彼らに鈍い紅で彩られた地獄の道を延々と付き合わせてしまった。
しかし、彼らが血に彩られた道を歩むのは今回が最後だ。誰が奪っていったのかは分からないが、それでも、彼女は彼らの今後が騎士の本懐を遂げられるものであることを願ってやまない。
彼らは、今回の結末をどのように思うのだろうか。
血に彩られた旅路からようやく抜け出せた騎士たちを想っていただろうか、闇の書の管理人格は、ふと目の前ですやすやと眠る主を見ながら考えた。
彼らはきっと幸せだったと思う。そうであってほしい、と彼女は思った。
守護騎士たちを道具として一切扱わず、家族として迎えた小さな主―――八神はやて。守護騎士たちの誰もが最初はうろたえ、戸惑ったはずだ。たとえ、最後の瞬間は覚えていなくても、彼らが守護騎士として過ごしてきた経験は覚えているのだから。今までとは全く異なる扱いを最初から受け入れられるとは到底思えない。
だが、それも最初の内だけだ。だんだんと今回の主に感化され、心を許し、笑えるようになっていた。まるで本当の家族であるように。それは彼女が今まで一度も見たことがない光景だ。そして、彼女がどこかで夢見ていた―――望んでいたような光景でもある。血に塗れるしかなかった彼らの道にせめての安らぎを、と。
彼らがはやてに心を許し、彼女が言うように家族であるという言葉を強く感じるほどに彼らは強く想っていたはずだ。今回の小さな主である八神はやてを。
いくら、彼女が彼らを家族と呼ぼうとも、守護騎士たちがその心を受け入れたとしても、彼らは守護騎士―――騎士なのだ。ならば、彼らにとって八神はやては、家族である前に守るべき、敬愛すべき主なのだ。
だからこそ、今回の結末は、彼らにとって無念であり、残念であったとしても、それでも心のどこかでは満足に感じていただろう。
彼らにとっては、主を守り、主を守るために戦うという騎士道を全うした末の結末なのだから。彼らが消える直前に後悔がなかったとは言えない。だが、それは今日までの今回の彼らの旅路ではなく、ただ主を置いて先に逝く
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