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リリカルな世界に『パッチ』を突っ込んでみた
第十二話
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じて残っていた遠くのビル群が破壊され、ガラガラと崩れ去ったのである。これには流石に、葵も目が点になった。

「さ、さて・・・最後は・・・。」

 キョロキョロと辺りを見回した葵が見つけたのは、未だ気絶している男子だった。

「・・・いや、流石に人体実験は不味いだろう・・・。」

 一瞬心に浮かんだ誘惑を、首を振って断ち切ろうとする。そもそも、わざわざ助け出した相手に自分で危害を加えるなど、無駄の極みだろう。・・・だが、

「まあ、怪我するわけがないと思うんだよな・・・。」

 彼の根拠は、原作(エヴォリミット)の序盤の描写である。

 記憶喪失となって目覚めたばかりの不知火と雫は、パッチユーザーしか存在しない火星において、下手をすれば赤ん坊よりも脆弱な存在だった。何せ、特殊能力云々よりも、身体能力が段違いだ。走っている人間にぶつかるだけで死にかねないほど弱い存在だった。

 ・・・が、彼らはこの段階でも、比較的自由に外出することが出来ていた。その理由が、『パッチのエネルギーはパッチユーザー以外にも流すことが出来る』からである。

 身体的な接触さえあれば、パッチユーザーから一般人へ、パッチのエネルギーを流し込んで強化することが出来る。その強化率は恐ろしい。何しろ、パッチを付けていない彼らが、地上四十階の校長室までを階段で昇り、全く疲労しないほどだ。

 体力面だけではなく、恐らくは防御力も急上昇している。高星カズナは、『絶対に手を離すな。離さなければ安全だ』という旨の発言をしている。それは、例え万が一カズナが危険を回避できなくても、大事には至らない程に不知火たちが強化されていたからだと考えられるのだ。

 それを考えれば、この実験に何の問題があろうか?彼が得た力は、『パッチのエネルギーの操作』であり、別なエネルギーに変換しているわけではない。ならば、男子の体にエネルギーを流し込んでも、悪影響など出るわけがない。

 ・・・が。

「・・・・・・やっぱりやめよう。これで体が破裂とかしたら洒落にならん。まずは昆虫や動物で実験だな・・・。」

 こうして、絶賛気絶中の男子は、知らぬ間に身の危険を免れたのである。

「・・・はぁ、早く来ないかなあ・・・。」

 そうして彼は、なのはを待ち続けるのだった。
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