四弾 好奇心猫を殺す? 黒猫はミルクを好む?
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「どうやって入ったんだ……って言いたいところだが、トレインが入れたんだな」
キンジは顔をげっそりさせながら俺に向けてそう言うと、「はぁー」と溜息を吐いた。
「入れたら駄目だったか?」
女嫌いだとは聞いていたが、溜息を吐くほど、ここまで嫌がるとは思わなかった。
「何よ!あんたはレディーを玄関先で待ち惚けさせる気だったの?許せないわ」
キンジが溜息した事に、逆ギレしたアリアが噛みついたがそれにキンジがすかさず反論した。
「逆ギレするようなヤツはレディーと呼ばないぞ、でぼちん」
「「でぼちん?」」
重なる俺とアリアの声。
その疑問の声にキンジがすぐ様説明した。
「額のでかい女の事だ」
「ああ、なるほど」
「______あたしのおでこの魅力が分からないなんて!あんた達いよいよ人類失格ね」
アリアは大げさに言うと、べー、とベロを出した。
さり気なく俺の事も人類失格扱いしやがったな、コイツ。
いや、なるほどなんて納得したのは冗談だぜ?
本当は分かってるんだ、俺もキンジもな。
アリアが可愛いと言う事は。
その、見 た 目 は な。
容姿が抜群にいいのは分かっているが、性格がな……。
我儘というか、人を巻き込んで自分勝手にやるところとか、感情的でキレやすいところとか俺の苦手なアイツ。
……キョーコとかにソックリなんだよな。
「この額はあたしのチャームポイントなのよ。イタリアでは女の子向けのヘアカタログ誌に載ったことだってあるんだから」
アリアはキンジに背を向けると、楽しそうに手に持った鏡を覗きこんで自分のおでこを見た。
そして、ふんふん♪と鼻歌まで歌い始めた。
キンジは楽しそうなアリアとは逆に不機嫌になったアピールなのか、手に持った鞄をアリアの隣に放り投げやがった。
だが、アリアも慣れたもので、へーぜんと自分の額をご満悦で眺め続けている。
……なんだ、この雰囲気の温度差は。
キンジがキレるのもしょうがねえとは思う。
押しかけて来て勝手に自室に上がった挙句に、アリアに「あんた、あたしのドレイになりなさい!」なんて言われたら誰だってキレるよな、そりゃあ。
昨日は昨日で、猫探しの依頼を受けに行ったかと思えばアリアに付きまとわれたみたいだしな。
だから同情はしてやる。
だけどな……。
ここは、俺とスヴェンが借りてる部屋でもあるんだぜ!
部屋の中を微妙な空気にすんなよ!
そんな事を思っているとキンジは洗面所に入って行った。
そして背中越しに______
「さすが貴族様。身だしなみにもお気を遣われていらっしゃるわけだ」
イヤミな口調でそんな事を言い放った。
それを聞いたアリアは、
「……あたしの事を調べたわね?」
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