第二部
第二章 〜対連合軍〜
九十九 〜開戦〜
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ち受ける。
「ご、ご主人様! 敵が攻めて来ちゃいました!」
「うむ」
雛里は帽子を押さえながら、私の隣に立った。
その間にも、敵軍はみるみるうちに城壁へと迫って来る。
「ええか! ウチが合図するまで引きつけるんやで!」
「応っ!」
「徐晃隊、張遼隊に後れを取るでないぞ!」
「応っ!」
どうやら、士気の心配は無用だな。
「先頭を切って来るのは、夏侯惇さんみたいでしゅ!……あう」
「……噛まずとも良い」
華琳とて、この攻撃が如何に無謀かは承知の筈。
それにも関わらず春蘭の投入は、やはり先陣を切ったという事実を知らしめる為か。
だが、手加減する訳にはいかぬ。
「み、みなしゃん! 構えてくだしゃい!」
噛みまくりながらも、朱里が懸命に声を上げている。
「敵軍、射程距離に達しました!」
「よっしゃ、放てっ!」
「は、放てっ!」
霞に次いで朱里の号令と共に、大量の矢が放たれた。
精密射撃ではないから、命中率など最初から期待していない。
……が、敵軍にしてみれば堪ったものではないであろう。
とにかく、矢の数が膨大なのである。
一本や二本は防げても、次々に矢が襲ってくるのだからな。
「な、何だこの矢の数は?」
「おい、敵は俺達より少ないんじゃなかったのかよ!」
忽ち、敵軍に動揺が走る。
「ええい、この程度の矢がなんだ! それでも貴様ら、精兵で鳴らす曹操軍かっ!」
それでも、春蘭は果敢に突っ込んでくる。
発奮した敵兵は、続いて城壁へと取り付こうとする。
「よし、落とせっ!」
待ち構えていた疾風の隊が、満を持して攻撃に移った。
石や油などを、思い思いに敵の頭上へと降り注いでいく。
疾風自身も、赤子の頭ほどもある石、いや岩をどんどん投げている。
……見た目は華奢でも、やはり名のある将という事を再認識させられる。
敵軍の被害は増大する一方だが、我が軍は全くの無傷。
長篠合戦ではないが、兵は三段構えにして交互に前に出させていた。
如何にこの城壁があろうとも、兵とて人間。
皆が疲弊すれば、城門とて破られよう。
「その調子です、皆さん!」
そしてもう一つ。
朱里に命じて作らせた兵器、連弩。
弓を人力で一本一本放つよりも、遙かに速く、かつ大量の矢を敵に見舞う事が出来る。
試みに朱里に問うてみたところ、当人も構想はあったらしく短期間での完成を見た。
……私はただ、知識を元にしたまでなのだが、朱里にはひどく尊敬の眼差しで見られてしまったようだ。
無論、弓兵はただ連弩を操っていればよい訳ではない。
「朱里!」
「はいっ!」
控えていた弓兵が、一斉に城壁の上に姿を見せる。
その手には弓矢、そして傍らには赤々と燃える篝火が置かれた。
「構
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