第二部
第二章 〜対連合軍〜
九十九 〜開戦〜
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に間違いはないと、今でも思っている」
「そら、ウチは鈴々や恋みたいに猪ちゅう訳やないけどな。歳っちは、そこも買ってくれたんやろ?」
「ああ。だが、まだある」
「何やろ。……あ、もしかして」
霞は意味ありげにほくそ笑むと、私に腕を絡めてきた。
「ここんとこご無沙汰やったから、ウチの身体が恋しいんか?」
「はわわ、霞さん?」
「あわわ、だ、大胆です……」
「ば、馬鹿者! 何をしている!」
朱里と雛里は慌てふためき、疾風は霞を引き剥がそうとする。
「何や、焼き餅か?」
「そうではない! 歳三殿が仰せなのはそういう意味ではない!」
「なら、それを説明してくれへんか? せやないと、ウチ離れへんで?」
「ぐっ……全く」
ゴホン、と疾風は咳払いをした。
「霞、お前以外にこの場にいる将や軍師の顔触れはわかるな?」
「当たり前やろ」
「では、所属はどうだ?」
「……あ」
ポン、と霞は両手を打った。
「そうか、歳っちはウチを月んトコの代表として選んだっちゅう訳やな?」
「その通り。……そもそも、歳三殿がそのような依怙贔屓をなさる御方だとでも思ったか?」
疾風は、霞を睨んだ。
「あ、あはは、嫌やわ。ウチが、そんな事考える訳ないやろ」
「ならば、速やかに離れてはどうだ? それ以上、歳三殿に密着せねばならん理由があるなら聞かせて貰うが?」
「あ、せ、せやな」
漸く、霞は腕を放した。
「ほ、ほなウチちょっと城壁の様子でも見てくるわ!」
そして、脱兎の如く駆けていく。
「じ、じゃあ私も兵士さんと作戦の確認をやって来ますね」
「わ、私も糧秣の点検を」
朱里と雛里まで、いそいそと去って行った。
……そして、残った疾風は盛大に溜息を一つ。
「全く。歳三殿、何故私の口から言わせたのですか?」
「……気づいておったか」
「当然です。霞は、歳三殿の言葉を聞かぬような者ではありますまい」
「その通りだ。だが、この場でそれが言えるのはお前しかおらぬ」
「……釈然としませんが」
「考えてもみよ。霞は月の麾下ではあるが、我が麾下ではない」
「……それは、そうですが」
「それが、頭ごなしに全てを話せばどうなる。董卓軍の兵が反感を抱くやも知れぬ」
私の言葉に、疾風が腕組みを解いた。
「そうでしょうか。それは少し、勘ぐり過ぎかと」
「このような時だ、何事も慎重に行わねばなるまい。今は、我らもまた連合軍である事を忘れるな」
「……はい。ですが」
と、疾風は一転して笑顔を見せた。
「む?」
「一つ、貸しですぞ?」
「……仕方あるまい。覚えておこう」
思わず、苦笑が浮かんだ。
そして。
響き渡る銅鑼の音と、喊声。
連合軍の一斉攻撃が開始された。
我々も既に準備を整え、それを待
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