第二部
第二章 〜対連合軍〜
九十九 〜開戦〜
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「歳三殿。只今戻りました」
「ご苦労」
疾風(徐晃)は一礼し、席に着いた。
「それで、敵情は?」
「はい。先陣は曹操殿と孫策殿が、中陣に公孫賛殿と劉ヨウ殿、後陣が袁術殿、袁紹殿らという布陣です」
「精鋭をいきなりぶつけてきましたか……厄介ですね」
「孫策さんは、袁術さんの実質的な麾下という扱いです。恐らく、失っても惜しくはない駒として向かわされたのかと」
朱里と雛里の言葉に、皆が頷く。
「それだけやあらへん。孫策軍は勇猛果敢、将も揃っとる。それだけ、連中がシ水関を早く抜こうっちゅう意思の表れやと思うで?」
「うむ、霞の推測も正しかろう。敵軍は我ら以上に糧秣事情が厳しい、そうであったな?」
「はい。何分あれだけの大軍、その上にここ数年の不作続きでしたし」
「それに、黄巾党騒乱の余波もあります。兵士さん達がお腹一杯食べられる量を十分に確保できているとは思えません」
「朱里、雛里の調べは間違いないと思われます。輜重を預かるのは袁紹殿との事ですが」
如何に嵐(沮授)がついていようとも、こればかりは解決するのは困難であろう。
となれば、当初の予想通りに短期決戦を目論むより他になくなる。
無論、我らとて余裕がある訳ではない。
だが、兵の数が少ないという事は、即ち消費する糧秣の量も連合軍に比べると遙かに少ない。
それに、防衛戦ではあっても完全なる籠城線ではないのだ。
少なくとも、連合軍がやって来た東以外には敵がおらぬ。
大量に、とまではいかずとも、多少なりとも補充を試みる事は十分可能でもある。
「朱里。例の物は完成したか?」
「はい。ご主人様が仰せの物を考えまして、何とか間に合わせました」
「よし。お前自身で指揮を執り、敵が攻め寄せたら試して見よ」
「はわわ、わ、私が指揮を?」
「そうだ。軍師は何も私の傍にいるだけが仕事ではないぞ?」
「わ、わかりました。やってみましゅ!……あう」
また噛んだか。
「雛里は、疾風と共に敵情の把握に努めよ」
「あわわ、わ、私に出来るでしょうか……?」
「出来るかではない、やるのだ。疾風には、いざ戦闘が始まったら将として動いて貰わねばならぬ」
「心配するな雛里。お前は私などとは比較にならぬ頭の良さがある、ちゃんと務まるさ」
「は、はひっ!」
この二人を連れて行く事には、皆の間に危惧がなかった訳ではない。
だが、いつまでも自信がないのでは今後戦に同道させられなくなるだけの事。
多少のしくじりは他の者で補えば良い。
疾風と霞を将として選んだのは、そのような意味合いも多分にあった。
「せやけど、歳っち」
「何だ」
「ウチは歳っちと一緒に戦えるんは嬉しいねんけど。此所で戦うんやったら、紫苑の方が良かったんちゃうか?」
「……いや、お前を選んだ判断
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