第1章 追放の身
◇3
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「ふわぁ〜。」
大あくびが出る。
裏庭にて。
リノス兄が屋敷の中で開催されてる家長就任式の会場にでて、向こうが盛り上がるのを良いことに、手薄になったところを抜け出してきた。
「んんー。」
裏庭はさんさんと日が差していてあったかい。
木陰にいって、ごそごそと取り出す。
「どうしようかなぁこれ…覚えろって言われたけどなぁ…父さんに。」
はー。
取り出したのは分厚くて、小さいけどちょっと埃っぽい本だ。
革表紙で、結構ご立派。
あのあと、「これからの旅に必要だから」と父さんに言われて、この本を渡された。
これを覚えきるまで、出発させてくれないとまでいいおった。
別に今まで毒薬の書とか、暗号パターン一覧的な、膨大な知識を詰め込んできたからそこまで珍しいことでもないけど。
内容がね…。
“スゥエルミナとエルファイア”
もしかしてこの題名、とか思ってなかを見たら…
やっぱりそうじゃん――――――!
家系図だった。
「んでかなぁ〜もうわが家の歴史は何度となくやったけどなぁ〜。」
履修内容をもう一回やるのだ。
めんどくさいことこの上ないし、この本は知らないこと知ってることがごたまぜになっている。
知らないとこだけ読む、何てことが出来ない。
あ―――――!このいまいましいヤツめ!!
長男以外結婚しない決まりだから、従兄弟とか言う観念がないので、その分直系の人達だけ覚えればいいからラク…
なんて考えてた私がバカでした。
それぞれ兄弟姉妹多すぎなんだよ!?
しかもそれぞれ通り名、があるからそれもセットだし。
一人一人被んないようにつけられるから、それを間違えないよう覚えるのも大変な訳で。
プラス、誰を殺したか的な功績が付属してくる。
どおりで分厚くなるわけだ。
家系図(普通の)なら紙ペラ1枚で良いからね。
「あれ?」
なんか変な記号ついてない?
ちょっと待て…見覚えあるなぁ…
そうだよ!
こないだの絵文字…じゃなくてヒエログリフに似てるじゃん!!
すっきり解決したので、読み進める。
「ん?なんだこれ…『閠』?」
ぽつっと残されたその単語。
なにも説明はない。
「落書き…かな。まぁいいや。」
早く出発したくて、次のページを捲った。
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