第3部 始祖の祈祷書
最終章 虚無
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トリステイン魔法学院に、アルビオンの宣戦布告の報が入ったのは、翌朝のことだった。
王宮は混乱を極めたため、連絡が遅れたのだ。
ルイズはウルキオラを連れて、魔法学院の玄関先で、王宮からの馬車を待っているところであった。
ゲルマニアへルイズたちを運ぶ馬車だ。
しかし、朝もやの中、魔法学院にやってきたのは息せき切った一人の使者であった。
彼はオスマンの居室を尋ねると、足早に駆け去って行った。
ルイズとウルキオラは、その尋常ならざる様子に顔を見合わせた。
いったい、王宮で何があったのだろうと気になったルイズは、ウルキオラを引きずって、使者のあとを追った。
オスマンは、式に出席するための用意で忙しかった。
一週間ほど学院を留守にするため、様々な書類を片付け、荷物をまとめていた。
猛烈な勢いで、扉が叩かれた。
「誰じゃね?」
返事をするよりも早く、王宮からの使者は飛び込んできた。
大声で口上を述べる。
「王宮からです!申し上げます!アルビオンがトリステインに宣戦布告!姫殿下の式は無期延期になりました!王軍は、現在ラ・ロシェールに展開中!したがって、学院に置かれましては、安全のため、生徒及び職員の禁足令を願います!」
「宣戦布告とな?戦争かね?」
「いかにも!タルブの草原に、敵軍は陣を張り、ラ・ロシェール付近に展開したわが軍と睨み合っております!」
「アルビオン軍は、強大じゃろうて」
使者は悲しげに言った。
「敵軍は、巨艦『レキシントン』号を筆頭に、戦列艦が十三隻。上陸せし総兵力は三千と見積もられます。我が軍の艦隊主力はすでに全滅、かき集めた兵力はわずか二千。制空権を完全に奪われ致命的。敵軍は空から砲撃を加え、我が軍をなんなく蹴散らすでしょう」
「現在の状況は?」
「敵竜騎兵によって、タルブの村は炎で焼かれているそうです……。同盟に基づき、ゲルマニア軍の派遣を要請しましたが、先陣が到着するのは三週間後とか……」
オスマンは溜息をついた。
「……見捨てる気じゃな。敵はその間に、トリステイン城下町をあっさり落とすじゃろうて」
学院長の扉の前で聞き耳を立てていたルイズは、戦争と聞いて、顔が蒼白になった。
タルブと聞いて、ウルキオラの顔色が変わった。
シエスタの村だ……。
ウルキオラは足早に歩き始めた。
ルイズは慌てて後を追う。
ウルキオラは中庭にでた。
ゼロ戦が視界に入る。
少しゼロ戦を見て考えていたが、ゼロ戦に背を向け再び歩き出した。
後ろから、ルイズがウルキオラの腰に抱きついた。
「どこ行くのよ!」
「タルブの村だ」
「な、何しに行
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