K・K・K
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たくじ)!たくじぃ……!!」
なんか違う。普段の悪辣ないたずらと毛色が違う。
普段は人の事を誉託司という名前の苗字の方ばかり呼ぶのだが。
なんというか、南慈美が泣きながら俺を抱きしめてくる。まるでその存在をより確かなものとして感じようとしているが如くだ。声は湿って弱弱しく、耳元に響くすすり泣きが何となく罪悪感を覚えさせる。……なんか心配させるようなことしたっけ?
南慈美は涙ながらに俺に縋りつき、混乱する俺に事情を説明してくれた。
「託司……あなた覚えてないでしょうけど、一か月もずっと死んだように眠ってたのよ。一か月前に通り魔に襲われた私を助けようとして、滅茶苦茶に殴られて……一か月、植物状態のままずっと眠ってたのよ……!!」
「……は?いやいや南慈美。植物状態からの意識回復って滅茶苦茶確率低………ってそうじゃなくて!俺、一か月も寝てたの……!?」
「そうよ!わたし……わたし、託司と二度と話が出来ないと思って……う、うぅぅ……目が覚めてよがっだよぉぉぉ〜〜〜〜ッ!!!」
………ふむ。
うすぼんやりとだが神とのやり取りを思い出した俺は、とりあえず南慈美の背中をぽんぽんと叩いた。想像以上に細くて華奢で、ちょっと戸惑った。
「俺も戻って来れるかは賭けだったんだけどな……まぁ、何とかなったよ」
「うえぇぇぇ〜〜〜〜〜ん!!ばかばかばかぁっ!!次にわたしの許可なく死んだら許さないんだからぁぁぁ〜〜〜っ!!」
よく分からんが、『俺の妄想が世界を作る説』は実証されたようだ。
いや、それともあれは全部俺の夢だったのか?
今となっては、それを確認する術もなかった。
= =
一方その頃、神は困り果てていた。
というのも、その原因は『目の前に倒れている誉託司』が目を覚まさないのだ。
「な、なにコレ。どゆこと!?魂は魂なんだからこの認識世界で意識を失うとかありえない筈なんだけど!……はっ!まさか、失敗した恥ずかしさを隠すためにタヌキ寝入り!?………じゃ、ないな」
じっくり託司を観察した神は、その力で託司の心を読んだうえでそう結論付けた。
今、彼の意識は『ここ』にはない。魂が夢を見ている状態だ。
……魂は、夢を見ない筈なのに。
そして、夢の中ではさっき死んだはずの肉体が何故か復活したという形で、彼の意識は再び世界に生きているようだった。多分この夢が覚めれば託司はこっちに戻ってくるのだろう。それがいつになるかは分からないが。
分からない。彼は確かに死んだのだ。そして死の遠因となったのが、運命策定作業のミスで彼の幼馴染が暴漢に襲われるという間違った過程を決定してしまったことだ。それによって運命が動き、彼女は意
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