K・K・K
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て、死は甘美だ」
この神、やけに死について肯定的だ。さては余程俺に死を認めてほしいと見える。
だが、俺は停止していない。現に動いているし、神のいう事に驚いたりがっかりしたりしながら思案を巡らせている。永遠とやらも感じないし、有限と無限の区別もつかない、何より今、俺は甘美なる死を感じない。
「俺は死を感じないのだが」
「それは君が死を認めないからだってば……死んでるくせに生きてるって思いこんでるから、錯覚してるの。錯覚が解ければ死者のルールに馴染んでいくよ」
「錯覚した状態は、生の状態と限りなく近いと言う訳か?」
「そして決して生へは傾かない。何故ならば君は『終わっているんだから』ね」
やけに強調するな。……実は俺は死んでないんじゃないのか?
だいたい、ここは認識論的空間なのだろう。ならば認識だけでも俺のイメージする世界に『戻』れば、実質的には『戻』っていることになるんじゃないのか?所謂、現世とやらに。
肉体の有無などという問題も関係ない。要は、『俺が生きて世界にいる』と考えれば、俺は生きて世界にいる状態と変わりない状態になる。すなわち『生きている』のと同等の状態になるんじゃないか?その間『俺が魂だけだろうと肉体の有無を取られようと関係ない』だろう。
だって、認識として生きているんだから。
認識の及ばない所で俺がどうなっていようと、認識こそが人生であって、過去であって、未来である。
認識最強。認識至上主義。世界は認識によって構築される。
そも、俺が今認識する神とやらもミスを犯している時点で万能な存在でないことが明確だ。
つまるところ、神も完璧ではないのだから、神の認識が真理であるとは言い切れない。
そう認識し始めると、この神って実は大した存在じゃないのでは?
「やい自称神。てめぇ万能の調停者なのか?」
「おい、この短期間で滅茶苦茶神への態度デカくなってないかい?」
「そもそもお前は神なのか。俺としてはそこが疑わしい。伝承では古往今来様々な場所や時代に神の名が出てくるが、大抵は碌でもない神や根拠も糞もない神、あるいは人が自分たちの都合で作った神ばかりだ。お前は何だ?全知全能でもないし、人間に対して『お前は死んだ』というただそれだけの情報を伝達するのにこれだけの時間をかけてもまだ確信させることも出来ないお前が神を名乗るのか?」
「うっ!ちょっと痛いところ突いてくるじゃないか……!確かに私は全能神と呼ぶには余りにも未熟な存在だ。書類の不備をよく先輩神に指摘されるし、ケアレスミスで君を殺すし……はぁ。ドジって呪いだよね」
「……お、おう」
想像以上に一般社会的な話を聞かされた。どうやらはやり、神というのは俺の考えている超越存在的なそれとは異なるらしい。人間のような社会を築き、人間
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