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儚き運命の罪と罰
第五話「海に響く爆音」
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バルディッシュを渡されたリオンは小声でバルディッシュと話した後、直ぐにフェイトに返した。
言葉の勉強をするのかと思っていたフェイトは驚いた。

「もういいんですか?」

「ああ、後はお前にも用がある。」

「え、私...ですか?」

これと言った心当たりも無かった。アルフとリオンが喧嘩して以降、フェイトとも彼は余り話していなかった。

「まあそれ程重要なことでもないがな、適当に答えてくれればいい。お前はもし願い事がかなうとしたらどのような願いがいい?」

「願い事...ですか?」

「そうだ。たった一つだけだぞ。」

フェイトは即答していた。

「母さんに幸せになってほしいです。」

それを聞いたリオンは一瞬...本当に一瞬、もし眼を見て話していなければ絶対に判らないほどの間だけ眼を伏せた。

「そうか、なら今ジュエルシードを集めているのもプレシアのため...だな。」

「勿論です。」

「ならいい。妙なことを訊いたな、忘れてくれ。お互いに明日に備えなくてはいけないからな。」

フェイトは少しだけ戸惑ったようだったがすぐに「ええ」とだけ言って今度こそ寝室に向かっていった。
それを確認したリオンはシャルティエにだけ聞こえる声で呟いた。

「生者よりも生きている死者と死者よりも死んでいる生者...なあシャル、一体どっちに意味が有るんだろうな?」

シャルティエの答えを聞いたリオンは満足気な顔になって眼を閉じた。


そして次の日...


リオンはベンチに座ってこれまたまだ彼には使い慣れない自販機で買った彼お気に入りの『カル○ス・ウォーター』を口にしていた。
買ってからかなりの時間が経過している筈なのにその量はちっとも減っていなかった。

「...これも生温いと余り美味しくはないな。」

後で部屋の冷蔵庫に入れて冷やしてから続きを飲もうと思った。

「海は青いですねえ...こういうのはどこでも変わらないんでしょうか。」

「かもな。そこに住むのが人であろうと、魔物であろうと。何が住んでいようと余計なことを考えたり行ったりしなければビクともしないのが世界だからな。幾ら違うからと言ってその事がホイホイと変わってしまっては困る。」

とは言うもののリオンはやはりホッとしていた。もちろん遠目には海だって町の高いところを移動する機会もあったからその青いことも勿論知っていたが、それでも本に載っているような赤い血の海だとか燃える海だとかはお目にかかりたくはなかったしここが異界である以上何が起こっても不思議ではない。
それにリオンは死人だ...少なくとも死んだ筈だ。だとすればこの世界は

「あの世、なのかも知れないからな。」

「坊ちゃん、それは。」

「縁起
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