黒蝕の陰、天廻の陽
ナグリ村へ到着
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ってきてくれないか?」
「分かった!…で、村長さんってどんな人だ?」
ここナグリ村は、ラスガルス大陸でも一番優秀な加工技術を誇る『土竜族』という種族が暮らしている。
土竜『族』とは付くものの元の人種は竜人族からで、環境適応種である。
ナグリ村に住まう土竜族は皆丸く頑強な体躯をしており、体の大きさより大きいハンマーを軽快に振るう。
中でも反り返ったヒゲを蓄えている村長が持つハンマーは、母親から譲り受けた家宝のような物らしい。
「あーえーっと、ここから奥の方へ行くと体と同じくらいの大きさのハンマーを片手で持っている、ヒゲが空に反り返った男が居るはずだ。その人が村長なんだが…」
「分かった、行ってくる!」
と、マトレガの腕を引っ張りながら村内を歩き始めた。
「頼んだぞー!」
と、ジャックスは帽子を振ってダイラスを見送った後、六個目の燻製肉をかじりながらキャラバンの設営をし始めた。
「い、一体これは…?」
ダイラスが目の当たりにしたのは、黄色い服を着て丸い体つきをした男達が地面に座り込み悲嘆にくれている様子だった。
ダイラスはまず道具屋らしき男に声をかけた。
「あ、あのー…どうかしたのか…?」
黄色い服の男は気だるそうに
「あー…?あんちゃん客か…?」
と答え
「悪いが今日はなーんにもやる気が起きないんだ…金払うなら何でも持ってってくれ…このへぐなちゃこが…。」
と、そのまま地面に伏してしまった。
「こ、こりゃひでぇ…。ってかへぐなちゃこって何だ…?」
「"へぐなちゃこ"っていうのはどうやら土竜族の方言のようだね。」
ダイラスが振り返ると、そこには若干頬がこけ落ちた表情でいつもの白衣を着たアルフレッドと、さも満足げに輝きに満ちた表情のアルマが居た。
「アル、遅かったな。どうやらこのおっちゃん達元気が無いらしいんだ。」
「理由ならアルマさんに…いや、やめとこう。何も聞かないでくれ…。」
アルフレッドも疲れたような表情をした後
「とりあえず大方の話は団長から聞いたから、まずは村長に会いに行ってみよう。」
ダイラスたちと村長が居るという村の奥部へと歩いていった。
村の奥にたどり着くと、ジャックスの言う通り体とほぼ同じサイズのハンマーを地面に置き、これまた悲哀の声を漏らす男が座っていた。
「すみません、この村の村長さんですか?」
アルフレッドが声をかけるが、村長らしき男は一向に顔を上げない。
「これはダメだ…完全に元気が無い様だね。どこかに話を聞ける土竜族の人が居れば…ん?」
と、アルフレッドがちょうどガートンが炉を置いた辺りに居る女の子を発見した。
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