第十一話
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『パッチのエネルギー』によってもたらされているのなら、供給されている量を増幅し、それを一箇所に集めたらどうなるのか?
結果はコレだ。今の彼は、両腕にパッチから供給されるエネルギーを収束した。それだけで治癒能力が増大し、あれだけの重症が完治したのである。そして、これは当然攻撃にも使用出来る。
キキキキキ・・・・・・!!!
金属が軋むような音が、右腕から響いた。彼の右腕に、有り得ない程のエネルギーが収束されているのだ。そのエネルギーは渦を巻き、風を巻き起こしている。
エネルギーを固めて、足場を作る。その上に立った葵は、右腕を大きく振りかぶり、やっと溶岩の海から這い出てきたヴォルケイノへと向けた。
「ありがとよ。これで俺の目的に一歩近づけたぜ。これは、そのお礼だ。」
一歩踏み込む。
「”星屑の破壊撃”ァァァァァァァァ!!!」
瞬間。
二百メートルの距離を瞬時に喰い尽くした直径十メートル程の巨大なブルーの破壊光は、ヴォルケイノどころか周囲一体の溶岩の海すらも飲み込んだ。とてつもない破壊音と共に、溶岩が消滅していく。
「・・・終わった・・・か?」
光が全て収まった後には、巨大な『穴』しか残っていなかった。そこにあったはずの溶岩は、全てが消滅した。今、その出来た穴に周囲の溶岩が流れ込もうとしていた。
そして、その底。今にも溶岩の雨が降り注ぎそうな場所に、あの男子が転がっている。生きているかどうかは分からないが、どちらにしろこのままでは死ぬので、回収することにした。
「ハア・・・大変だったが・・・。」
背負った男子に向けて、葵は言葉を発する。気絶して、聞こえていないのを分かっていながら。
「アンタ強かったぜ。この経験を覚えて・・・いや、覚えられても困るが。兎に角、今度はあんな不良共にやられるんじゃねえぞ。俺をここまで追い詰めたんだからな。」
そう言って、まだ残っていた破壊されていないビルの屋上に向かう葵。その背の男子の顔は、何だか晴れ晴れとした顔のように見えた・・・・・・
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