暁 〜小説投稿サイト〜
リリカルな世界に『パッチ』を突っ込んでみた
第十一話
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 顔を焼かれながらも、彼は空中を蹴って距離を取る。必死に逃げた彼が見たのは、落ちていくヴォルケイノであった。

「と、飛べないのか・・・?」

 下は溶岩の海で、足場になる場所はない。溶岩が冷えて固まるにももう少し時間が必要だ。つまり、敵は溶岩の海で泳ぎながら戦うしかないということ。それならば、制空権を奪っている葵が負けるはずもない。

 ―――そう、思った瞬間だった。

「嘘、だろ・・・?」

 ダン!と音を立てて、ヴォルケイノは溶岩に降り立った。正確には、彼が落ちた場所の溶岩が、急激に冷えて固まった(・・・・・・・・・・)。その地面に、敵は着地したのだ。

「なる程・・・。ただ熱くするだけが取り柄じゃないと・・・。アンタの本質は、溶岩を操る事(・・・・・・)なんだな。」

 溶岩を放つも、溶岩の熱を奪うのも自由自在。滝を突っ切って来たのも、足元に道を作って来たのだろう。そうじゃなければ、空を駆ける葵に追いつける訳が無い。

「希望が見つかったと思ったらコレだよ・・・!」

 弱音を吐きながらも、彼の頭脳はこの状況を打開する方法を考え続けていた。

「まずは、何よりも両腕を直さないと話にならんな・・・!!!」

 意図的に無視していたが、両腕は今にも発狂しそうな程の痛みをずっと送り続けている。それに、両足だけでは戦えない。何とかして治す必要があった。

「そう。腕を治すんだ。それだけじゃない。この状況を打開するには、強力な手札が必要だ。・・・それは、何だ?」

 彼の視界の先では、ヴォルケイノが突撃の構えをしている。また、溶岩の海を走ってくるつもりなのだろう。

 ―――猶予は、ない。

「ここで進化する。階段を昇る。考えろ。俺に必要なのは・・・何だ!?」

 ドン!!!

 ヴォルケイノが、地面を蹴る。凄まじい速度で、迫ってくる。

 距離的に考えても、あと十秒もあれば葵の場所までつくだろう。牽制として”飛弾連脚”(二発)を放ってみるも、片腕でゴミでも払うかのように散らされた。彼の今出せる最強技ですら、牽制にもならないらしい。また距離を離す事も考えたが、敵のほうが速度が早い。結局追いつかれる。

 ―――あと五秒。

「どうする・・・?」

 ―――あと四秒。

「何が必要だ・・・?」

 ―――あと三秒。

「腕を治して、アイツを倒せる手札・・・!」

 ―――あと二秒。敵が大きく跳躍する。

「それは・・・。」

 ―――あと一秒。拳が大きく振りかぶられ、葵の目の前まで来て・・・

「コレだ。」

 ――――――葵は、真っ赤なフロアに立っていた。

「・・・・・・着いた。」

 呆然と呟く。地面は見渡す限り一面の真っ
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