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【短編集】現実だってファンタジー
虫を叩いたら世界は救われるか検証してみた・結の章
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息子は気付いていない。自分の周囲で起きる不思議な事は、実は全て世界を救うきっかけになっていることに。
今日は掌の力を覚醒させたが、実際には髪の毛や言葉、目線、果ては足の裏など様々な部分で仏の力が覚醒している。

かくして世界は均衡を保っている。
私が遠い未来の世界を壊すと、息子が体に宿る仏の力で世界を救う。
元通りになった世界を私が壊し、息子が直し、壊し、直し………。

私は何で親子でこんな訳の分からないことしてるんだろうか。
というか、いまごく自然に「親子」って考えてしまったような……いやいや、私はあくまで『千の無貌』。人を狂気と混乱に貶め冷笑する者……人の姿をしているが、真なる姿は人に非ず。
そしてやがては世界の――

「あ、また変な調味料入れようとしてる!もういいよ、味付けは僕がするからお母さん盛り付して!」
「ちょっと、母親の料理に対して何たる物言いなの!台所は母の戦場なのよ!?」
「なんで料理だけはそんなに乗り気なのさっ!!良いだろ別に男が台所に立ったって!いい加減見た目最悪な料理作ってんの自覚してよね!悪趣味!!」

ぎゃあぎゃあと喧しい声を聞いたお隣さんは、「相変わらず仲のいい家族ねぇ」と微笑ましそうにウフフと笑っていた。


結論。

虫を叩いて世界を救う方法は、あるっぽい。
 
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