第三章 [ 花 鳥 風 月 ]
五十二話 緋色の宵 中編
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うとしている百鬼丸の姿。
それを見た虚空は回避行動を捨て、しがみ付いていた妹紅を力任せに薙ぎ払う。そんな事をすれば多少の怪我はするだろうが――――死ぬ確率を孕む一撃に比べれば安いモノだろう。
防御に回せる僅かな時間を妹紅を引き剥がす行動に割いた虚空に碌な防御手段が取れるはずも無く――――百鬼丸が放った鉄槌の如き一撃は虚空の胸板を激しく打ち付け、虚空は放たれた矢の様に空気を裂きながら飛翔し近くの塀を破壊すると燃え盛る建物の中に消えていった。
攻撃を放った百鬼丸は数秒虚空が消えていった場所を凝視すると口角を吊り上げ笑みを浮かべる。そして飛び上がると輝夜を抱え込んでいた無有の元まで移動し、
「中々良い戦利品が手に入ったな」
「ケ、ケヒ!ケヒヒヒ!コイツハアイツノ縁者ミタイダヨ?ドウスル?ドウスル?ケヒ!ケヒヒヒ!」
無有はそう言うと輝夜の頬を指で撫でるが輝夜は意識を失っているのか全く反応を示さない。
「決まってんだろ――――おい七枷虚空ッ!その程度じゃくたばってねーだろッ!」
百鬼丸は眼下を見下ろし声を張り上げる。未だに姿は見えないが死んでいないと確信し、
「この嬢ちゃんは預かっておくぜッ!大和の方を片付けたら次はテメーだッ!楽しみにしてやがれッ!――――あぁ後置き土産をくれてやるよッ!」
そう言うと百鬼丸は懐から巾着袋を取り出し中に入っていた赤い丸薬状のモノを口に一つ放り込み噛み砕いた。
すると彼の露出している腕と胸板に銀色の幾何学模様が浮かび上がり、噴火した火山の如く妖気が爆発する。そして右手を開きながら天にかざすと――――。
もしその時に空を見上げていた者が居れば目を疑っただろう。
何せ天に上る黒煙の合間から見える夜空に紅い衣を纏った巨石が赤い軌跡を描きながら地上に――――京の都目掛けて降り注いできているのだから、しかも一つや二つでは無く数十という物量で。
この現象こそ最初に京の都を火の海にした元凶だった。
「これが俺様の『流星を降らせる程度の能力』だッ!じゃぁまた会おうぜッ!アーハハハハハッ!!」
黒煙と火炎の赤に染められる夜空に百鬼丸は笑い声を残しながら消えていき、それと入れ替わるように京の都に再び破壊の嵐が吹き荒れた。
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