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IF物語 ベルセルク編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第十五話 浸透
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たいと思っていたようだ。辺境星域での焦土作戦はそんな貴族達に格好の口実を与えてしまった。反乱軍も大敗した以上ローエングラム侯を排除するのに遠慮は要らない。皇帝陛下崩御さえなければ侯は貴族達によって排除されていた筈だ。殺されたかどうかは分からないが失脚は間違いなかったと思う」
メックリンガー提督が頷いた。

「だが皇帝フリードリヒ四世が死んだ事で全てが変わってしまった。排斥の動きは表に出る前に消えてしまった。だから我々は何も気付かなかった。だがローエングラム侯排斥の動きを知っていれば余りにもタイミングが良過ぎる事に気付いたはずだ、それにその後の流れは我々に余りにも都合良く運び過ぎた……」
「オーベルシュタイン総参謀長か……」
「そうだ、彼がシナリオを考えたのだと思う」

皇帝崩御を知った時、皆が唖然とする中で的確に今後の展開を読んだのはオーベルシュタイン総参謀長だった。そして方針を立てたのもオーベルシュタイン総参謀長だった。偶然ではない、必然だったのだ、彼が全てを演出した。辺境星域での焦土作戦、そして皇帝暗殺から今回の内乱は一つのシナリオなのだ。バラバラに起きたのではない……。

「ヴァレンシュタイン艦隊を攻撃しろと言ったのは……」
「口封じだろうな、全てを闇に葬るつもりだった」
「恐ろしい男だ」
メックリンガー提督が溜息を吐いた。
「そうだな、恐ろしい男だ。オーベルシュタイン総参謀長も、そしてヴァレンシュタイン提督も」
「ヴァレンシュタイン提督も?」
メックリンガー提督が驚いた様に聞き返してきた。
「そうだ、ヴァレンシュタイン提督もだ」
「……」

「オーベルシュタイン総参謀長がシナリオを書いた事をヴァレンシュタイン提督は早い時点で気付いたのだと思う。皇帝を暗殺したのは伯爵夫人でその裏に総参謀長が居ると。しかし彼はそれを表沙汰にはしなかった。おかしいとは思わないか?」
「確かにそうだ。何故だ?」
メックリンガー提督が眉根を寄せた。

「リヒテンラーデ公が握り潰す、そう思ったのだ。だから知らぬ振りをしてこちらを油断させた」
「……」
「その上でオーディンを襲った。我々は向こうの狙いを補給物資と皇帝の身柄だと思った。リヒテンラーデ公やグリューネワルト伯爵夫人はあくまで人質だと……」

メックリンガー提督が呻いた。こちらも呻きたい気分だ。もし事実を知っていれば如何したか? オーベルシュタイン同様攻撃を進言しただろう。ヴァレンシュタイン提督がマールバッハでこちらと相対したのはローエングラム侯が暗殺に関わっていない、暗殺はオーベルシュタインの独断だと判断していたからだ。そしてそれを確かめた。だからこの映像をメックリンガー提督に渡した。こちらを混乱させるためだ。

「むしろ狙いは真相を語らせる事か」
「そうだ。
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