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101番目の舶ィ語
第十七話。背中の温かさ
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に近い形状をしたそれは……スクラマ・サクス。
香港で孫のレーザービームによりクリスマスツリーに変化し、今はヴィクトリア湾の底に沈んだはずのそれが目の前にあった。

(これは流石に予想外だ。
……これも武器をイメージしたせいか?
確かに刀欲しかったけど……)

「そして主人公は変身してからが本番だよ!」

戸惑いながらもスクラマ・サクスを手に取り、キリカに向かってそう告げながら動かないでいる蜘蛛に近づく。
残った蜘蛛2匹を使い、その内の1匹に触れて体を『変化』させていく。
流れ込んできた情報によると俺は他のロアに接触する事でそのロアの存在を改変できるようになる、らしい。
らしい、というのは全ての能力を把握したわけではないからな。
俺が知ったのはロアに触れる事で『干渉』して、新たなロアや事象、モノに『改変』できるという能力を俺のロア、『不可能を可能にする男(エネイブル)』が持つという事だ。

赤い蜘蛛に触れると蜘蛛は俺がイメージした形に変化していく。
前世で俺が長い間、使っていた相棒へとその形を変えていく。

「うわ、うわあ。蜘蛛が銃に変化した??」

興奮したキリカの声をBGMに蜘蛛を銃に変えた。
キリカの言葉通り、一匹の蜘蛛は一丁の自動拳銃へとその姿を変えていた。
俺が前世で使っていた、自動拳銃の一つ。
ベレッタM92Fへと。
武器を作り出す事に成功した俺だが俺の能力はこれだけじゃない。

「驚くのはまだ早いよ?
さあ、糸を出してごらん」

俺が片手で触れていた最後の蜘蛛は、俺の指示に従い公園の木々に向けて口から糸を吐いた。蜘蛛の口から吐き出された糸は木の枝に掛かると一瞬で蜘蛛の巣を形成した。
『糸を吐き出したらすぐに巣が出来る』。
そう俺が想像しながら蜘蛛に触れた事により、その想像がイメージ力の具現化により現実に蜘蛛の巣となった。俺のイメージ通りに。
吐き出された蜘蛛の巣は網目状に広がっていた。
やがて霧が立ち込める中、強風が吹き蜘蛛の巣を飛ばした。
飛んだ蜘蛛の巣はキラキラとした光の粒子となり、その粒子は飛ばされた蜘蛛の巣の真下にいた俺に降り注いだ。
その光を浴びた俺は驚くほどポジティブになった。
何をしても今なら成功する。
そうとしか思えなくなっている。
何をしても良い事しか起きない。そういった加護を受けたかのように。
まるでメーヤの『強化幸運(ヴエントウラ)』を受けた時のような。



「風で飛ばされた蜘蛛の巣かあ。『幸せの前兆』の都市伝説の中にある『風で飛んできた蜘蛛の巣は幸運の印』を現したんだね!
なるほど……私が放った『人を食べる虫』の都市伝説に、その蜘蛛の物語に『干渉』して『改変』したんだね。
人を食べる虫だったその子に蜘蛛の巣を作らせてその『巣が風
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