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頭上の戦士
第七章
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第七章

「爆撃機の護衛だからな」
「だからだってんだな」
「そうだよ。ムスタングだがコリーなんだよ」
 いささか強引にだ。相手は言う。
「とにかく来たからな」
「来たっていってもな」
「不思議かい?」
「よく来られたな」
 驚く調子でだ。機長が相手に問うた。
「御前等確かドルトムントじゃなかったのか」
「そんなのすぐに来られるだろ」
 空を飛べばだというのだ。
「だから来たんだよ。ドルトムントに行った連中はもうドイツ本土から出たぜ」
「で、俺達か」
「そういうことさ。狼の相手は任せな」  
 コリーだからだ。彼等はドイツ機をこう表現した。
「いいな、そっちは安心して爆撃に入れ」
「ああ、そうしてもらうぜ」
 機長はほっとした顔で相手に応える。見ればだ。
 P−51の編隊が展開していた。彼等はその雄姿を誇示しながらドイツ機に向かいだ。そのうえで彼等を蹴散らしていっていた。
 彼等の登場によってだ。状況は一変した。ドイツ機はいなくなり爆撃隊は窮地を脱したのである。
 そうして爆撃も成功させてだ。ドイツ本土から離脱するのだった。
 機長はだ。上空に飛ぶ彼等にだ。通信で話した。
「今回も有り難うな」
「ははは、御礼か」
「ああ。お陰で助かったぜ」
「御礼はビールでいいからな」
 軽いジョークでだ。彼等は返してきた。
「ただし量は凄いからな」
「いいぜ。生きて帰られないとビールどころじゃないからな」
 この辺りは実に現実味のある話だった。
「だからな。好きなだけ奢るぜ」
「イギリスはビールもまずいからな」
 アメリカ人にしてもだ。イギリスのビールはよくなかった。
「ライミーは唯でさえ物資不足だってのにな」
「味がさらに落ちたからな」
「もう飲めたものじゃねえぜ」
「食い物もな」
 他のP−51のパイロット達も言う。
「まあ食い物はいいからな」
「こっちで払うさ」
「ビールだけ頼むな」
「ああ、わかったさ」
 笑ってだ。機長は述べる。そんな話をしてだった。
 彼等は無事帰還できた。今回もだ。機長は基地に帰りP−51のパイロット達にビールを奢ってからだ。自機の乗組員達にこう言った。
「いいものだな」
「護衛戦闘機がいてくれることはですか」
「そのことがですね」
「頼りになるのは友軍だよ」
 そうだというのだった。
「本当にな」
「頭上を守ってくれる味方ですね」
「そういうことさ。とにかくな」
 機長はここでまた言う。
「俺達をこうして生きて帰られるのも連中がいてくれるからだよ」
「本当にそうですよね」
「俺達も感謝しないといけませんね」
「このことには」
「人間感謝を忘れたらいけないさ。特にな」 
 どうかというのだ。これまた。
「こうした戦争の
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