Interview12 オトギノヒブン −Historia of “Tales”−
「また来たのか」
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しょう。イリスたちと同じで、道標を求めて」
「それって、分史世界にもエージェントがいるってこと? そっか、エージェントの人たちに取材した時に、『分史の自分』とか『分史の友人』とか言ってたもんね……」
イリスが歩いて行って、妙な鳴き声のルルと格闘するエルから、ひょいとルルの首根っこを掴んで持ち上げ、床に放った。ルルは器用に着地した。
「自分のいる世界が正史か分史かは通常分からないわ。確認しようと思ったら、イリスたちみたいに『道標』を集めて『カナンの地』が呼び出せるか試すしかない。顕れれば良し、何も起きなければ分史世界と分かる」
「じゃ、じゃあ、もしかしてわたしたちのいる世界も」
「いいえ。イリスたちの世界は間違いなく正史よ。イリスは一度、『審判』開始からすぐに最初のカナンの地召喚を成し遂げた。イリスたちの子孫もまた、何人か、かの地を顕すだけなら成功しているのよ」
「そう、ですか……」『よかった〜』
エリーゼもティポもほっとしている。
「でも、その『よかった』はわたしたちだけのもので、100万近くある『分史世界のわたしたち』は、そう安心できないんだね。『道標』を揃えた瞬間、絶望、するんだよね」
レイアは胸に手を当てた。逸る動悸を抑えようとしているようにも見えて、ルドガーはついレイアの肩を掴んでいた。
「……ごめん。変なこと言っちゃったね。先、進も!」
レイアはことさら明るい笑顔を見せてから、一番に遺跡の奥へと歩き出した。
「先が観えすぎるのもかわいそうね……」
「先?」
「何でもないわ。ほら、早く行かないと、今度はレイアが一人になってしまうわよ」
それは困る。尋ねたいことも言いたいこともあるが、まずはレイアを追いかけたルドガーであった。
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