Interview12 オトギノヒブン −Historia of “Tales”−
「また来たのか」
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躍してる。こんな技術がある時代があったなんて……」
レイアもイリスも爛々と目を輝かせてあちこちを見回している。
イリスがいた時代は黒匣文明の盛期だったらしいのに、そのイリスが驚いている。本当にとんでもない技術で建築された場所なのだと、ルドガーにも薄々凄さが理解できた。
「あ、ルドガー」
「おそい!」
少し先にいた少女二人がルドガーをふり返った。
「ごめん。先に入って何もなかったか?」
「んー……とくには」
「よかった」
『ここなら雷も聞こえないからねー♪』
ティポの茶々にエルは頬を赤らめた。
「でも、エルは弱虫じゃないよ?」
「――知ってる。エルは泣かないもんな」
「っ…分かってるなら、いいけど」
エルはリュックサックのショルダーを両手で握って、歩いて行った。
「エル、無理してるよ」
「ずっと親と離れてる8歳の女の子が泣かないなんて、普通じゃないです」『エリーゼが8歳の時なんて、ぼくはいっつも涙でぐしょぐしょだったしー』
「へえ。エリーゼが」
今度はエリーゼが頬を染めて俯いてしまった。子供のフォローは難しい。
「ルドガー。早く行かないと、エルが一人になってしまうわよ」
それはまずい。とりあえずルドガーは急いでエルを追いかけた。後ろからレイアとエリーゼも付いて来た。
カツ…ゥン、カツ…ゥン……
天井が高いせいか、足音がなかなか消えてくれない。
「ねえ。前にイリス、人間だった時は今より文明が進んでたって言ったよね。ここってそれよりスゴイの?」
「ええ。まずこれだけの巨大施設を人が建造した、ないし、建造しうる設備を持っていた。次に、黒匣のように精霊を消費せずに機能させている。そして」
そこでイリスは言葉を区切り、指を口に当てて思案するふうを見せた。
「――そのくらいかしら。最後のは聞かなかったことにして。確証がないから」
イリスはいつもと変わらない笑みを刷いた。だから、レイアも、ルドガーも追及はしなかった。
『また来たのか、クルスニクの一族よ』
「だ、だれっ?」
ルドガーはとっさにエルを後ろにして身構えた。「声」は遺跡内を反響して、どこが音源か掴めない。
『私はオーディーン。時の方舟トールの管理システムだ』
「道標の一つね。『箱舟守護者の心臓』」
『いかにも』
「知ってるの? 自分が道標だって」
『それだけではなく、お前たちの弱点も理解している。これは忠告だ。大人しく立ち去ってくれ』
それを最後に「声」は聞こえなくなった。
「今の声の人、どうしてここが分史世界って知ってたんだろ」
「大方、イリスたちの前に、別の世界のクルスニクの子が来たので
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