暁 〜小説投稿サイト〜
乱世の確率事象改変
裏切りの明け空
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五の陣に集まっていた。
 故に、彼が馬で必死に逃げているのも当然の成り行き。
 神速の張遼による陣への奇襲は火による糧食壊滅に重きを置き、追撃の幅は尋常では無い。こちらも伏兵部隊を幾つか呼び寄せてなんとか対応したモノの、後詰めの曹操軍が現れて被害は甚大に広がっていた。
 さらには、伏兵の道に誘おうとも……同じ袁家の兵士を配下に加え、先に走らせて来る為に思うような成果は望めない。
 先日まで同じ軍に所属していたモノを攻撃するのは、敗色の怯えに染められた兵士達の心に迷いが生じて動きが纏まらない。
 黒麒麟が袁術軍に対して行った兵士に対しての離間計が、詠と霞の手によって成功したのだ。
 それには理由があった。
 郭図が率いていた兵士達は延津で明と夕が恐怖で縛り、生への渇望を高めさせたモノ達。この戦の為に無理やり徴兵を行い、この戦で生き残る事に特化させた擬似死兵。国への忠義無いモノ達には、生存こそが全てであったのだ。
 たった一つ、それだけの読み違いが最悪の状況に陥らせていく。

――クソ……本隊と合流するか? 無理だ。救援の伝令は送ったが、田豊の暗殺を謀った事がバレたら逃げられねぇ。

 追い立てられるだけの無様な姿など気にならず汗を拭い、ただ駆ける。

――情報を対価に裏切るか? 不可能だ。あのクソ女が生きてる限り、俺の命は刈り取られる。

 どんな手段を用いても、明だけは郭図を殺そうとするだろう。何より才あるを優先的に用いる曹孟徳であろうと、汚職と不徳の証人がいる時点で郭図は切り捨てられる。

――何処か他の場所へ……逃げるしかねぇな。本拠地に逃げると敵は思ってるだろうから……

 生き残る為にはそれしかない。屈辱が胸を焦がし、憤りが増しに増すが……自分が死んでは何も意味が無い。
 追随する兵士達は居る。追撃の為の壁となって、必死で生かそうとしている。
 当然だ、と郭図は思う。国に利を上げる有能な人材、位も高い自分は守られて当然なのだ。だから兵士がどれだけ死のうと気にならない。心も痛まない。

――何処へ逃げる? 再起を計れる場所、クソ女に復讐出来る場所、あいつらをかき乱せる場所……そうか、あの場所なら、面白ぇ。

 思い至る所はあった。今の大陸で一番掻き乱されている泥沼で、生き残れて欲を利用しやすく愉悦をも感じられる場所。

――……死んだ龍の住処なら問題ない。

 袁家への忠義など郭図には無い。故に、その場所を目指す事にためらいは無かった。
 金は無いがコネがある。龍に殺された一族は復興を願うであろう。いつも通り、郭図は他者を利用して自身の頭で伸し上がって行けばいいのだ。

「クカカッ……まだだ、まだ俺は行けるっ」

 先に思考を向けると自然と哂いが漏れ出た。
 そうだ、袁家で無理をせ
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