第三章
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第三章
それでだ。彼等もまた蜻蛉という言葉に反応したのだった。
「言われてたな」
「まだまだひよっこだからな」
「結局のところはな」
「けれどな」
それでもだというのだった。
「俺達はそれでもな」
「ああ、パイロットだ」
「それは間違いないからな」
「だからだ。俺はだ」
浜尾はだ。また話すのだった。
「蜻蛉からな」
「蜻蛉から?」
「どうなるっていうんだ?」
「それで」
「鷹になる」
そうなるというのである。
「そして戦う」
「そうするんだな」
「やっぱりそうなんだな」
「貴様等はどうするんだ?」
まだだ。こう問うのだった。
「それで」
「俺は実家で農家を継ぐさ」
「俺は漁師な」
まずは二人が言った。
「俺は工場で働く」
「俺は警官になる」
「そうか。じゃあ俺だけになるのか」
浜尾は仲間達の行く先を知ってまた述べた。
「戦うのは」
「悪いな、親の跡を継がないとな」
「だからな」
「それはな」
「いいさ。人それぞれだ」
そうしたことについてだ。とかく言うまで彼は狭量ではなかった。そしてだった。
「それはな」
「それでとりあえず貴様は」
「どうするんだ」
「実家に帰って畑仕事をしながら待つ」
こう仲間達に答えるのだった。
「そうする」
「そうか、待つか」
「ここは」
「幾らでも」
「天命があれば」
浜尾はまた言った。
「その時は絶対に来るからな」
「それでか」
「わかった。それならな」
「待つんだな」
「そうだ、待つ」
浜尾の言葉がさらに強いものになる。
「そして俺は今度こそな」
「アメリカに勝つんだな」
「絶対に」
「そうする。今は蜻蛉でも」
自分をだ。こう例えるのだった。その練習機でだ。
「それでもだ。やがてはな」
「何にならんだ」
「それで」
「鷹だ」
それだというのだ。
「俺は鷹になる。絶対にな」
「そうか。鷹になってか」
「勝つんだな」
「アメリカに」
「そうする。何があってもな」
こう誓うのだった。そうして彼は実際にその時を待った。
するとだ。天命は彼を導いたのだった。
「警察予備隊か」
「ああ、そうなんだ」
「そういうのができるらしいんだ」
こうだ。実家で農業に従事していた彼に近所の者達が話すのだった。
「まあ名前は違うがな」
「かつての軍隊の人間に来てくれって言ってるしな」
「実際は軍隊だよ」
「そうした組織だよ」
「わかった」
それを聞いてだ。浜尾は言うのだった。
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