暁 〜小説投稿サイト〜
リリカルな世界に『パッチ』を突っ込んでみた
第十話
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ドを持っていたこと。

 気絶していた男子は、葵と男たちの戦闘(蹂躙?)音により、目を覚ましていた。そして、葵の圧倒的すぎる力を目の当たりにし、そこで願いを自覚したのだ。

(強くなりたい・・・!)

 先程までは、殴られ、蹴られしていても、ただただ心を凍らせて耐えていた。学校でも苛められるのが日常だった彼にとって、暴行されるのは慣れたものだった。だからこそ、『早く終われ』とも願わず、ただただ耐えていたのだ。もう、助けを求める心すら彼には残っていなかった。だからこそ、持っていたジュエルシードも、何の反応も起こさなかったのだ。

 だが、彼は見てしまった。

 圧倒的な力で、自分を弄んでいた不良グループを蹴散らす少年を。それは、心が擦り切れていた彼にとってはとても強い・・・強すぎる光だった。
 だから彼は願った。ヒーローに憧れる子供のように。ただ一心に願った。『僕も、強くなりたい』と。

 ジュエルシードは、そんな彼の願いを叶えてしまった。ただただ全てを破壊する力の化身へと、彼を変貌させる。

『Uoooooooooooooooooooooooooooooooooooooooooooo!!!』

 一瞬にして、彼の姿は炎へと包まれた。彼から炎の柱が天に伸び、多くの人間に目撃される。一番不幸だったのは、仲間を見捨てて逃げ出そうとした数人だった。葵に背を向けて走った瞬間、目の前に炎の柱が出現したのだ。彼らの混乱も、当然のものだったろう。

「う、うわあああああああああああ!?」

「なんだよ!なにが起きてるんだよおおおおお!?」

 そして、混乱して足が止まった彼らを次に襲ったのは、爆風。

 ゴッ・・・!

 渦巻いていた炎の柱が、内側から破裂したのだ。狭い路地裏を、爆風が蹂躙する。彼らは悲鳴を上げる暇もなく吹き飛ばされ、壁に叩きつけられ崩れ落ちる。

(俺は呪われてるのか!?)

 葵は、迫り来る爆風を前にして、運命を呪いながら全力を出す。彼の拳が殴りつけたのは路地の壁。一軒のビルの外壁であった。

 葵の全力にまるで耐え切れず、ガラガラと崩れ去る外壁。そこに、全く反応出来ていないなのはたち三人を押し倒して伏せさせる。この間、4秒にも満たない時間だった。原因の化物まで距離があったのが幸いし、何とか爆風を防ぐことに成功する。

「とんでもないことになってきたな・・・!」

 未だ呆然とする三人の無事を確かめながら、葵は瓦礫の山から顔を出す。そこには、炎の魔人としか呼べないような異形が立っていた。宿主となった中学生の学生服はそのまま残っているが、顔や手足は全てが炎で構築されている。恐らく、服を脱げば、体全てが炎で出来ているだろう。

「・・・冗談だろう・・・?」

 それは、彼にとっ
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