暁 〜小説投稿サイト〜
リリカルな世界に『パッチ』を突っ込んでみた
第十話
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に触れたことに。

 ここから先は遊びでは済まなくなる。刃物を見てブチキレた葵に、既に手加減という思考は無かった。彼が尋常ではなく怒っている理由は、なのはたちを怖がらせたからではなく・・・

「テメエら・・・俺に刃物で立ち向かおうなんていい度胸だな・・・!!!」

 アリサとすずかが見ている、という思考すらも吹き飛んだ。彼の目には、彼らがあの日あの時、突然背後から襲いかかってきた通り魔にしか見えなかった。

『あああああああああ痛い!痛い・・・!』

 グサリ、グサリと。幻聴すら聞こえてくる。

『熱い・・・!何で、何で俺が・・・!!!』

 あの時感じた熱が蘇って来る。怒りと恐怖で、目の前が真っ赤に染まった。

「今の俺には・・・。」

 ズダン!!!葵が足を踏み下ろした音に、周囲の人間は口を閉じた。・・・閉じざるを、得なかった。

 誰もが、彼の怒りを感じ取ったから。それが殺気と呼ばれるものだなどと、誰も分からないだろう。誰も動くことが出来なかった。葵は、その場を完全に支配していたのだ。

「・・・武器を出したからには、それなりの覚悟があるってことだよな・・・?」

 一歩。

 葵が踏み出した。

 彼の気迫に押され、不良グループが後ずさる。腹の痛みで蹲っていた者でさえ、腰を抜かして彼からできる限り距離を取ろうとしていた。

「なら・・・死ね。」

 ゴッ!!!

 コンクリートが砕ける音と共に、既に一人の懐に密着していた葵。目をギラつかせて、拳を振りかぶるのを、加速した世界の中でなのはは見た。

 ―――だから。

「駄目だよ葵君!!!」

 最悪の未来を予想した彼女は、力の限り叫んだ。それが、葵の意識を呼び戻す。

「・・・ッ!」

「グオ・・・!」

 間一髪だった。正気に戻った彼が、一瞬で力を抜かなければ、そのまま彼はこの男を殺していただろう。そのおかげで、男は、吹き飛んで壁に叩きつけられるだけ(・・)で済んだ。

 ゴキゴキと、骨が折れる音が響いていたが、内臓破裂や死ぬよりはよほどマシだろう。

「なんだよ・・・!なんだよこの化物・・・!」

「に、逃げようぜ・・・!」

 なのはの声で正気に戻ったのは、葵だけではなかった。それまで彼の殺気に包まれ身動き一つ出来なかった男たちは、その声で我に返り、仲間が壁にすごい勢いで叩きつけられるのを見て、ようやく力の差を理解した。

 そうなれば瓦解するのは早い。仲間を放り出して、自分だけ逃げようと身を翻した・・・・・・が、彼らは運が悪かった。

 一つ。

 偶然葵たちが通りがかったこと。

 そして二つ。

 自分たちがボロボロにして遊んでいた玩具(男子)が、ジュエルシー
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