第十話
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。不良グループが犯した罪は一つ。それは、なのはたちを怖がらせた事。
自分の命に危険が及ばない範囲で、彼は彼女たちを助ける。今の彼には、それが片手間で可能なのだ。
『・・・!』
一瞬で意識を刈り取られた男を見て、場が静まり返った。なのはは彼の実力を知っているが、他の人間は彼の力を知らない。敵である不良グループはもとより、アリサとすずかも息を飲んでいた。
(・・・だから嫌だったんだ)
これが原因で、アリサとすずかに嫌われたらどうしてくれる。そういう気持ちで不良グループを睨みつけると、彼らは思わず後ずさった。そして、自分たちがただの小学生に恐れを抱いているのだと自覚した一人が、恐怖を払拭する為に叫ぶ。
「や、やっちまえ!」
「お前ら程度に俺がやれるかよ!」
叫ぶと同時、一番近い男の懐へと飛び込み、回し蹴りを食らわす。吹き飛びはしない。そこまですると、内蔵が破裂する可能性があった。ただ、腹を抱えて悶絶するだけ。
パッチのおかげで、手加減は完璧だ。重症を負わせる事も出来るが、なるべくなのはたちには血を見てもらいたく無かった為、最大限の注意を払って処理していく。
「ヒッ・・・!なんだよコイツ・・・!」
いつの間にか、立場が逆転していた。
絶対強者だったハズの男たちは、年端もいかない少年一人に叩きのめされ、残り五人へと数を減らしている。周りには、腹を抱えて身動き一つ出来ない男たちが転がっていた。
「クソ!何なんだよお前・・・!もう容赦しねえぞ!」
そのうちの一人が、ポケットから取り出したものは・・・折りたたみナイフだった。
「きゃああああああああ!」
ナイフを見た瞬間響き渡る悲鳴。それはすずかのものだった。アリサもなのはも、目に涙を溜めながら葵を見ている。アリサは携帯を取り出して助けを呼ぼうとするが、手が震えて上手く操作出来ていないようだ。
刃物とは、分かりやすい『凶器』の形である。身近にあり、そして容易く人を殺傷出来る代物だ。彼女たちも、葵が戦っているのを恐怖を押し殺して見ていたが、刃物を取り出した事で、『一線』を超えてしまったのだと気がついた。いくら葵が強くとも、刃物を持った男たちには勝てないと、そう感じたのだ。
取り乱すなのはたちを見て、下卑た笑みを浮かべるその男。彼は、怯える獲物を見て思い出したのだ。自分が、狩る側だったのだということを。
「さあ、今すぐ謝るんなら半殺しですませてもいいぜ?」
刃物は効果があると踏んで、残りの四人もナイフを取り出した。ジリジリと葵に近づいてくる。
「・・・・・・。」
しかし、だ。
彼らは気がついていなかった。自らが竜の逆鱗
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