覚悟と決意
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自分の不甲斐なさにほとほと呆れた。さっきまであんなに覚悟を決めていたのになんで今言えないんだ…。
「何かあったのか?」
カーテンの向こうからセイバーが声をかける。何かあった……確かにあった。神父に会い、自分の戦い方に疑問を持った。たった今その答えがようやく見つかったのに……言えない。
「いや、何もないよ」
セイバーが少し沈黙すると、そうか……と言い、特に追求はしてこなかった。セイバーなりの気遣いなのだろう。
このままセイバーに気を遣わせる訳にもいかない。何か明るい話題を持ち出さなくてはと考えた末、ふと思いついた事に微笑んでしまった。
「セイバー、何か食べたいものある?」
「ん、食べたいもの?なぜ今……あっ、まさかさっき言葉を切ったのってこれのことか!?」
するとその瞬間風呂場のカーテンが勢いよくガシャ、と音を鳴らして開いた。そこには眉をピクピクと痙攣させて、あまりご機嫌ではない表情を浮かべるセイバーが裸で出てきた。
「ぶふっ!?」
しかしそれどころではなかった。セイバーの裸体が丸見えだ。白く滑らかなセイバーの肌に風呂の水滴が滴り、エロい。関係ないが、女の子の肌はマシュマロみたいな感触だと誰かが言ってるを聞いた覚えがある。確かにそうかもしれない。見た目からしてもその感触がどの程度なのか分かってしまう。
そんなことを考えているうちに顔が急に熱くなるのが分かった。
「少し話をしようか、マスター」
その瞬間、セイバーの殺気に背筋が凍った。セイバーは拳をボキボキと鳴らしながら俺に近づいてくる。この時、俺は初めて寒さと熱さを同時に感じた。
数十分後。俺は大勢のマスターが行き通う廊下を歩いていた。みんな本当に自分達が殺し合うと思っていないのか笑い声が聞こえたり、ちょっとした世間話が聞こえてくる。
周りの明るい様子からこれから先起こる戦いなんて嘘なんじゃないかと思わせる。戦いに負けたら死ぬというルールも嘘なんじゃないか?もしそうであるならどれだけ心が軽くなるか…。できれば殺し合いなんてごめんだ。人が死んでいく様を見るなんて嫌だし死ぬのも嫌だ。
でも、現実はいつも非情だ。目の前に起きるのは都合の良いものではなく非情な現実。希望もないただ真っ暗な絶望を背にしたこの戦いを終わらせる他に生きることはできない。
周囲の賑わいに目を細め、次のアリーナへと足を進める。
その時。
「おや、また会いましたね」
俺の背後から聞き覚えのある声が響いてきた。正直、あまりこちらとしては顔を合わせづらい。なんせこの声の主にはずいぶんな無礼を働いてしまった。俺は後ろを振り向き、相手があの人かどうか確認する。
「偶然だね、レオ」
予想はみご
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