第二章 戦火の亡霊船
4話 西へ…(名神高速:京都編)
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ていたのに、あの波動がそれより弱いと思えるはずはなかった。
僕はこちらへ向かってくる香織のそばまで駆け、操作した空気を二重に重ねた膜を作ると、その間に空気が入らないように空間を作る。その空間は真空となり、僕らを熱波から守った。
「っぶね…」
「助かったよありがと!」
なんとか脅威を防いだところで、まだ油断できるところではない。
朱雀の傷は全て消え、何事もなかったかのように立ち上がってこちらを睨んでいる。その胸の赤色が少しばかりくすんでいる以外の変化は見られなかった。
「くっ…」
舞い散る火の粉の温度が上がり、あたりは更なる熱気に包まれる。すると突然、こちらを見る朱雀が右の方に視線を移動させたと思うと、大きな翼をひろげて飛び立った。そしてそのまま甲高い声を上げながら飛び去っていく。
「どこへ…いくんだ?」
「楓くん!行こう!」
朱雀の姿をぼんやりと追っていると、一足先に現実に戻った香織が車へと向かった。それを追って僕もすぐに車に乗り込む。それと同時に香織はアクセルを踏みこの場から離れた。
僕らの進む高速道路の左手で赤い光が瞬き、誰かの叫び声を聞きながら、僕らは朱雀から逃げおおせたのだった。
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