第二章 戦火の亡霊船
4話 西へ…(名神高速:京都編)
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「く…っそ!」
僕の真上に降ってきた朱雀を受け止められるはずもなく、思いっきり横に転がることで回避する。しかしその衝撃を高速道路が受け止めきれなかった。僕らが通り過ぎた道が大きな音を立てて崩れていく。
「香織!」
近くにいた香織が巻き込まれていないかと叫んで安全を確認するが、その必要は無かったようだ。崩れ去る瓦礫を横目に、香織が剣を持って朱雀に迫る。
しかし相手の反応は早く、すぐに空へ戻るために翼を動かそうとする。このままいくと確実に香織の攻撃は朱雀へと届かない。そこを僕がサポートした。
周囲の空気を操り、朱雀の翼下部へと移動させると、そこで固定。朱雀が翼を動かせなくなったところに香織の斬撃が襲いかかった。
普通のロングソード形態を取っている黒い剣は、朱雀の右翼の根本を深々と切りつける。その翼が力を失ったかのように垂れ下がったのを見ると、おそらく腱を傷つける事ができたのだろう。あの様子ではもう飛び上がることはできないと思われる。
しかしそこは四神に名を連ねる者。その程度では行動の選択肢を狭めたくらいで、大したダメージにはなっていないようだった。
「危ない!」
翼を切りつけた勢いで更なる連撃を加えようとした香織に、すぐさま立ち直った朱雀の粉塵が襲いかかった。
翼を大きく広げるだけで周囲に広がる煌めく炎。これが夜で、僕らに影響を及ぼさない遠くで見ているだけならば感想は違ってきただろう。
その炎が香織に届く前に空気でそれを全て振り払う。その隙に朱雀の胸元を香織が斬り付ける。
このように、最近ではもっぱら香織が前衛、僕が後衛を努め、万能な能力で香織をサポートする戦い方を取っているのだが、今回も上手くその戦法にハマってくれた。
朱雀の大きな体が後ろへ倒れていく。空を駆けていた香織も上手く着地し、こちらに向かって笑顔を向けてくる。その顔には少しばかり黒い煤がついていた。
「意外と弱かったな。」
そう呟くのも仕方ない程にあっけなく朱雀は倒れ去ったと思う。戦闘時間にしても五分もかかっていなかった。
香織は倒れた朱雀の前で結晶になるのを待っているのだが、なかなか結晶にならないどころか朱雀の体からは光すら出ていない。
「いや、おかしいな…」
朱雀は倒れて動かない。普通であれば倒したモンスターはすぐに光となって消えていくのだが…朱雀にその様子が見られないのである。
さすがに香織も不審に思ってか、動かない朱雀の体から視線を離すこと無く距離を取った。そしてその瞬間…
轟
真っ赤な朱雀の体から爆炎の柱が立ち上る。そして「キュイィーー」と、甲高い声が響いてきたと思うと、炎の柱は波動となって襲いかかってきた。
「嘘だろ!」
火の粉ですら凄まじい熱気を放っ
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