暁 〜小説投稿サイト〜
戦友
第五章
[2/2]

[8]前話 [9] 最初 [2]次話
葉に応えてすぐに述べるのだった。
「ずっと覚えていたさ」
「わしと同じか」
「御前もか」
「当然だ」
 アルフレッドはまた笑顔で答えるのだった。その笑顔で語る。
「時代は変わったがな」
「確かに変わったがそれでも」
「何だ?」
「わし等の心はそんなに変わってはいなかったな」
「そうか?」
 今のコシュートの言葉に首を傾げるのだった。今度は捻ったものではなかった。
「それは別にな」
「感じないか」
「髪も白くなったしな」
 そう言いながら笑って自分の髪の毛を撫でる。もう赤い髪は何処にもなくなっていた。
「見ろ。この白い髪を」
「それを言うのならわしもだ」
 コシュートも言ってきた。やはり彼も自分の頭を撫でている。
「なくなってしまったわ」
「そうだな。見る影もない」
「歳を取って急にだったぞ」 
 笑いながらの言葉だった。達観さえしている。
「抜けてな。それでこれだ」
「わしは徐々にだったがな」
「どちらにしろ。歳は取ったということだな」
「その通りだ。それでだ」
 アルフレッドはここまで話したうえでまたコシュートに対して述べるのだった。
「メアリーはそちらに入る」
「ああ」
 アルフレッドのその言葉に頷くのだった。
「宜しく頼むぞ」
「わかった。あれだな」
「あれ?」
 ここで話が動いた。しかしアルフレッドにはわからない。
「あれだ。御前の孫娘が今日結婚して」
「ああ」
「生まれるのは。わし等の曾孫だな」
「おお、そうだな」
 アルフレッドはそれを聞いて気付いたように頷く。彼は今それに気付いたのだ。

[8]前話 [9] 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ