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戦友
第二章
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さえいる。
「あんだけでかい図体で。まだ欲張るとはね」
「まあ平和にならないと金儲けはできないからな」
「それはそうだな。ドンパチやってるところで商売なんかできはしないからな」
 これは真理であった。戦争をすればそれで商業は滞り産業は破壊される。これを好き好んで行うような人間はかなり特別な人間であると言える。
「考えれば当然か。あいつ等が停戦の仲介をするのは」
「そういうことだな。だが何はともあれ戦争は終わる」
「ああ」
 コシュートはコーヒーだった。彼はそのコーヒーを飲みながら答えた。
「じゃあ俺達もあれか」
「あれ?」
 黒パンを食べながらコシュートに問い返す。
「あれって何なんだ?」
「だからあれだよ。戦争が終わるんだろ」
「ああ」
 それは彼が今言ったことだ。だから頷くことができたのだ。
「それだったら。俺達もお役御免だな」
「ここを離れるのか」
「こんなところ。正直誰もいなくていいんだよ」
 コシュートは達観したように述べた。辺りの山や谷を眺めながらの言葉だった。
「誰も来ないんだしな。近くに村も何もないしな」
「まあそうだな」
 その通りだったのだ。そこまで辺鄙な場所だったのだ。だからここには交易に行き来する商人も来ることはない。ほぼ秘境なのだ。二人は体よくここに食べ物や人が住めるような家と一緒に放り出されただけなのだ。兵士としてあまりにも無能であったから。
「だからだよ。戦争が終われば俺達は」
「ここを去って故郷にか」
「そういうことだよ。まあ結構楽しかったがな」
 これまでのことを懐かしんでその顔に微かな笑みを浮かべるコシュートであった。
「御前と色々話したり遊んだりしたしな」
「そうだな。確かにな」
 また黒パンをかじりながら応える。
「楽しませてもらったよ。俺もな」
「俺は故郷に帰るけれどな」
 コシュートはまた言ってきた。
「御前はどうするんだ?」
「俺も同じだよ」
 アルフレッドの返答はこうであった。迷いはない。
「帰って。家の仕事を手伝うさ」
「家の仕事?何かやってるのか」
「本屋をやってるんだよ」 
 実は彼の実家は本屋なのだ。それで昔から本を読んでもいる。基本的にはインドア派だ。だから軍人には向いていないのである。

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