R.O.M -数字喰い虫- 2/4
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、数字は元々虫由来だってことになってんだよ。だから、実は『数字喰い虫』を見てる人は世界の真実が見えてるんだ、って話」
「何だよそれ、全然違うじゃねえか!かぁー……これだから都市伝説って奴は嫌だな!」
「で?で?その『数字喰い虫』って寄生虫で、頭を乗っ取っちゃうんでしょ?最後はどうなっちゃうのよその人!」
「勿論、独りで部屋に閉じこもってノイローゼになり、気が狂って死んでしまう、って奴さ」
「イヤぁぁぁぁ!!怖いよぉ〜〜!!ねえねえ、『数字喰い虫』にされても寄生されても助かる方法ってないの!?」
「んん?どうだろう、俺が聞いた話はそこで終わっちゃうからな。また聞いてくるから、それまで『数字の繭』が書かれた呪いのノートなんて見るんじゃねぇぞ?」
「うんっ!!私、絶対に本読まないよ!」
「……それは違うと思うんだが」
――それは、誰がどこから広めたのかも分からない、何の根拠もない都市伝説。
既に短期間で亜種や勝手なストーリーの追加で変容が始まっているそれは、本当に被害者がいるかどうかも定かではない。だが、人は根拠もない存在を信じることを止めない。
運勢、厄、縁起。人はいつだって目に見えず、立証も出来ない存在を『在るもの』として語る。
それは、無意識的潜在的に人が立証できない『神秘』のような存在を待ち望んでいるから、とは考えられないだろうか。
あるいは、その無意識こそが現実を歪めて神秘たりうる存在を神秘としてこの世に幻出させているのかもしれない。
だが、全ての物事には必ず始まりがある。
無秩序に広がり続けているように見えるその無数の線は、人の望みの顕現として線の集合点を発生させる。だが、その点の反対へと糸ををひたすらに手繰り続ければ、全ての始まりである点がある。必ず原点、起点、分岐点が存在する。
噂の源でありイコン。信仰の対象。特異存在。
全てと繋がり、点が生み出す可能性を無尽蔵に内包しつつも、可能性そのものへとなりきることは出来ないもの。
それは都市伝説そのものではなく、それを消しても都市伝説が消滅することはない。
だが、探す者がそのイコンに全く別の意味を求めているのならば――
「――入らないでっ!!」
ばたん、と力いっぱいの拒絶と共に扉が閉じられる。
『……ごめん。でも、怖いの。もう虫なんて2度と見たくない。虫を見ないで済むならテレビもパソコンもいらない。時間なんていらない。情報なんていらない。もう胃液を吐きたくもない』
ぶつぶつと言い訳のような声が聞こえ、それっきり部屋の向こうは沈黙した。
「美咲、ずっとああなんです」
現実に打ちひしがれたように項垂れた春歌が、震える声で後ろにいる二人の人間に呟く。
「これ
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