R.O.M -数字喰い虫- 2/4
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ぼろぼろと掌から零れるように、私の知っていた世界が崩れ落ちていく。
崩れた場所から顔を覗かせるのは、あの時夢で見たように蠢きひしめく芋虫の大群。
なんで私が、こんな目にあわなければいけないの。
なんで私が、胃酸の苦味と酸味を何度も味わわなければいけないの。
なんで私が、他の人と違ってこんな世界を見続けなければいけないのか。
それは、私にとっては紛れもなく地獄だったのだ。
部屋の隅に、開かれたノートが放置されている。
あそこにある算用数字の塊を見たら、今の私はどうなってしまうのだろう。
あの夥しいほどの数字の全てが芋虫として溢れだしたら――そう思うと、私はそれを閉じて捨てようとすることも出来ない。
= =
「ねえねえ、『数字喰い虫』って知ってる?」
「何それ?新しいスマホのゲームか何か?」
「違う違う!ホラ、隣のクラスの美咲ちゃんって居たの覚えてる?」
「ああ、知ってる知ってる!なんかぁ、何か月か前からノイローゼになって休学したとかいう話じゃん?」
「うん。それでさ……最近噂で聞いたんだけど、そのノイローゼの原因が『数字喰い虫』らしいんだよね!」
「……それで、何なの?『数字喰い虫』ってさ?」
「それがさぁ……数字を見てると、その数字が芋虫に見えてくる精神病なんだって!」
「うわ、キショっ!!ちょっとぉ、想像しちゃったじゃん!!あー午後から数学の授業なのにぃ……でも、確かにそりゃノイローゼにもなるわよねぇ」
「でしょでしょ!で、これは知り合いから聞いた話なんだけど………」
「出たらしいぜ、『数字喰い虫』が!」
「ひょっとして最近休んでるアイツが?」
「おう。聞いた話じゃ、噂通り数字を虫だと思い込んで部屋に籠ってるって話だ」
「マジかよ……ガセ情報じゃないのか?あれって唯の都市伝説だろ?ネットで一時期話題になったけど、実際おかしいだろ。あいつは元々虐められてたし、原因はそっちじゃね?」
「でもよ、数学苦手って条件は揃ってんだよ?なっててもおかしくないって!」
「おいおい……本気で信じてるのかよ?本当にそうだったらニュースとかになってるだろ。騙されてんだよ、その噂にさ」
「………そして、数学嫌いだったその科学者は、全ての数学に答えを導き出せる究極の公式を開発したんだ。それが『数字の繭』さ!ところが完成直前に科学者は死んじまった。だからその怨念が、未完成の公式を見た人間の視覚に異常を齎して、結果的に『数字喰い虫』を生み落しちまったのさ!」
「えー?俺が聞いたのは違うんだけどなぁ」
「はぁ?何だよ違うって」
「だからさ、俺が聞いた話では、数字を開発しようとした学者が悪魔と契約して、うねってる芋虫を『アラビア数字』として発表したから
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