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ドリトル先生と学園の動物達
第一幕その八
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「虫歯は万病の素です」
「そうですね、虫歯自体も危険ですし」
「痛みますし」
 それこそいつもです。
「しかも虫歯の穴からバイ菌が入って」
「そのことも危険ですし」
「集中も出来なくなります」
 歯の痛みで、です。
「挙句は寿命にも関わって」
「おまけに悪化しますから」
「一刻も早い治療が必要です」
 虫歯を放置してはならないと言うのです。
「人でも動物でもそれは同じです」
「だからです」
「動物達の虫歯の治療をですね」
「すぐにしたいのですが」
「そういえば今動物園では」
「実は人手が足りないのです」
 多くの動物達の虫歯を治療するには、というのです。
「普段なら問題ありませんが」
「虫歯になっている動物達が多く」
「それも予想よりも遥かにです」
 多くて、というのです。
「治療が必要なのですが」
「人手が足りず」
「ドリトル先生は獣医の資格もありますね」
「はい、診られるのは人だけではありません」
 先生は温厚な笑顔で日笠さんに答えました。
「イギリスでも獣医もしていました」
「ですからお願いに来ました」
 日笠さんは先生にあらためて言いました。
「先生に助けて欲しいのです」
「動物達の虫歯の治療をですね」
「そうです」
 まさにそれでというのです。
「お願い出来るでしょうか」
「はい、それでしたら」
 先生は微笑んで日笠さんに答えました。
「喜んで」
「引き受けて頂けるのですね」
「勿論です、動物の皆が困っているのなら」
 虫歯で、です。
「及ばずながら」
「有り難うございます、先生が助けて下さるのなら」
 それならとです、日笠さんはそれまで深刻なものになっていたお顔をj晴れやかなものにさせて言うのでした。
「百人力です」
「いえ、それは言い過ぎでは」
「言い過ぎではありません、先生のお話は聞いています」
「僕のですか」
「はい、獣医としての先生も」
「イギリスにいた時の僕も」
「先生のことは動物園でも有名なのです」
 日笠さんはそのぱっと明るくなったお顔で先生にお話するのでした。
「とてもお優しい名医として」
「あっ、そうだったのですか」
「そのことはご存知なかったのですか」
「実は」
 そうしたことには疎い先生です、ご自身の噂等については。
「僕は動物園でも有名だったのですね」
「とても。それでなのですが」
「お受けさせて頂きますので」
 動物園の動物達の治療をです」
「是非共」
「わかりました、では明日からお願いします」
「明日からですね」
「今日はお願いに来ただけなので」
「これで、ですか」
「帰らせて頂きます、それと」
 ここで日笠さんはこうも言うのでした。
「この紅茶ですが」
「はい、如何でしょうか」

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