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ドリトル先生と学園の動物達
第一幕その七
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「だから頼むわよ」
「先生そうしたことも頑張ってね」
「そうして幸せになってね」
「絶対に」
「ううん、何とかね」
 先生は考えるお顔で甚平さんの袖の中で腕を組んで言います、日本の服が本当に似合っています。まるで日本で生まれた人みたいに。
「女の人ともお話しようか」
「まずはそれが第一歩だね」
「先生にとってはね」
「そこしっかりとしてね」
「ちゃんとね」
 動物達も言うのでした、彼等にとっても先生には早く結婚して欲しくてそれで切実に言うのです。そうしてでした。
 次の日です、先生がいつも通り出勤して大学の講義をしてそれからご自身の研究室で研究をしているとです。 
 扉をノックする音がしました、先生がどうぞと答えますと。
 黒髪を後ろでお団子にしてまとめた眼鏡の女の人が来ました、お顔立ちは切れ長の黒い瞳に高めのお鼻、それに小さい紅色の唇にです。
 桃色のお肌、すらりとした背に膝までのスカートのスーツ、それにストッキングという格好です。スタイルはかなりよくてハイヒールも似合います。
 その綺麗な人が来てです、先生に言うのでした。
「あの、私は日笠という者ですが」
「日笠さんですか」
「日笠瑞穂といいます」
 下のお名前も名乗りました。
「八条動物園の職員です」
「動物園の、ですか」
「はい、医療を担当しています」
「といいますと」
「獣医です」
 八条動物園に勤めている、というのです。
「それを勤めています」
「そうなのですか、獣医さんですか」
「そうです、それでなのですが」
「ええと、立ち話も何ですね」
 ここで、でした。先生は今自分達が研究室の扉を挟んで立ったままでいることを意識しました、そうしてなのでした。
「お茶を飲みながらお話しませんか?」
「お茶をですか」
「長いお話になりますね」
「はい、実は」
 その通りと答える日笠さんでした。
「そうなります」
「そうですね、それでは」
「お茶を飲みながらですね」
「お話しましょう、実はいい紅茶がありまして」
 先生は温厚な笑顔で日笠さんに言うのでした。
「如何でしょうか」
「紅茶ですか」
「そうです、日本のお茶もありますが」
 今は、というのです。
「いい紅茶がありますが」
「そうですか、それでは」
 日笠さんも微笑んで先生に応えます。
「ご馳走になります」
「では」
 こうお話してでした、そのうえで。
 先生は日笠さんに研究室の中に入ってもらいました、そうして紅茶とお茶菓子のシュークリームを出しました。そうしてでした。
 テーブルに向かい合って座って紅茶を飲みながらです、日笠さんに尋ねました。「
「それで今回こちらに来られた理由は」
「はい、実は今動物園で問題が起こっていまして」
「問題、ですか
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