第四章
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の日本は」
どうだったか。祖父としてこのことも話した。
「今よりずっと貧乏で。辛かったけれど」
「そんな国だったんだ」
「けれど大和があった」
その船がだというのだ。
「大和がいて。ここにいてくれて」
「そうだったんだ」
「今の日本にも。あの船が必要なのかもな」
海を見ながらの言葉だった。
「若しかしてな」
「大和がなんだね」
「うん、そう思うな」
孫に話す言葉はそれだった。目に見えているものは今はもういない大和だった。その二つについて考えながらだ。孫に話す。
「本当に。じゃあ」
「じゃあ?」
「これからおもちゃでも買おうか」
孫に顔を向けての言葉だった。
「プラモデルでもな」
「プラモを?」
「そう、プラモを」
それをだというのである。
「今から」
「何のプラモなの?」
「大和のだよ。とても大きくて凄いプラモを」
「その大和の」
「それを買おう」
また話す彼だった。
「今から」
「そう。それじゃあ」
二人で頷いてだった。そうしてであった。
孫の手を引いてだ。おもちゃ屋に行った。そしてそのうえでその大和のプラモを買ってだ。孫にプレゼントしたのだった。大和を。
大和 完
2010・12・24
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